*titled:いとうサマ
「女の人ってさぁ」
「ん?」
背を向けたままサンジが口を開くと、ソファに寝そべっていたナミはそれまで読んでいた本を閉じて起き上がる。
「ちょっとした小物でホント感じかわるよね」
空のグラスをカウンターテーブルに置いて、サンジはナミの元へと歩み寄る。
ソファの上で胡座をかくナミに向かいあうように床にペタリと腰を下ろす。
「これのこと?」
ナミは小首を傾げながらメガネの縁を軽く上げる。
「あと、これ」
サンジは手を伸ばし、二つに分けたおさげに触れる。
「変?」
再び小首を傾げるナミ。サンジの手の中からオレンジの尻尾がするりと逃げる。
「とんでもない!
もの凄っっくカワイイんですけど・・・」
手持ちぶさたとなった手はナミの耳朶をくすぐる。
「・・・・けど?」
擽ったそうに肩を竦めながら漏れ出る息は既に甘い。
「何だかいたいけな少女にイケナイコトしてるようで―」
そんなことを言いながらも止まらない手の動きにサンジは苦笑する。
じゃあ、とナミは小さく微笑む。
「メガネを外して続ける?
それとも―」
レンズの向こうの瞳は僅かに細くなる。
「イケナイコトはこれでお終い?」
どっち?
とナミはサンジの頬を両手で包む。
「我侭を言わせてもらえれば」
サンジは頬に伸びた細い手首を掴み、ナミを引き寄せる。
「そのまま続けるで―」
穢れなど微塵も感じさせない容貌の少女はこの上なく艶やかに笑った。
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