時は流れ、人が行き、物も動く。
いつから其処にあるのかも、何所からやってきたのかも分からない、
微かに潮の香を残す、古い古いソファーがここに。
「痛っ!!」
「どうした?」
「ここ、スプリングが飛び出しちゃってて―」
「見せてみろよ」
「ちょっとひっかいただけよ」
「いいから寄こせ」
「大分くたびれてきたな、コイツも」
「そうね、最初から一緒だったから―」
「そろそろ新しいのに変えるか?」
「いやよ、アンタと一緒に使ってきたんだから捨てるなんて!」
「ナミ―」
「だからもっと有名になってね」
「あ?」
「『大剣豪の使ったソファー』って触れ込みで高く売るから」
「お前な・・・・」
そんな会話を知っているとあるソファーの話。
|