「これ全部今日一日で買ったのか?」
脇で山をなす衣類を、ベッドの中からゾロは呆れ顔で眺めている。
「そうよ」
裸のまま身を起こし、ナミは得意げに戦利品達に目をやる。
「グランドラインに入ったら買物なんかできないかも知れないじゃない」
こんこんとナミは説く。
「あんたみたいに腹巻さえあればいいって訳にいかないんだから、女は」
―腹巻しか着てねぇような言い方すんじゃねぇ―
憮然とするゾロをよそにナミはご機嫌だ。
「でも久々に楽しかったー、色々着たわよー、店員ベタ褒めだったんだから、私のドレスアップした格好」
今度一回着て見せてあげよか、というナミにゾロは頭からシーツを被せる。
「何すんのよ」
不平を溢しながらナミはもそもそと顔を出す。
くくくと笑いながらゾロはナミを指差す。
「それで十分だよ、俺にはな」
意を解したナミはシーツを身体に巻きつけるとベッドを飛び降りる。
細い上半身にピタリとそして腰から下にむけてなだらかに膨らむ白のドレス。
「ま、中味がイイからねー」
少し照れたようにナミは何度も頷く。
「という訳で、今日使った分取り返さなきゃ。
利子三倍きっちり返してもらうからよろしくね」
したたかな笑みを浮かべると、夜の淑女は勇ましくドレスの裾を跳ね上げた。
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