*titled:いとうサマ
「子供の頃はキライだったのよ」
これが、とナミは手のひらを見、少し照れたように昔を語る。
「てぶくろが?」
「そう、ミトンの」
白いシンプルなミトンのてぶくろは、どうして彼女によく似合っているのに。
首を傾げるサンジを見てナミは笑う。
「子供っぽい、と思ってたのよね・・・・子供だったんだけどさ」
「手作りだったんだけど、あの人はほら微妙に不器用な人だったから・・・」
ライオンのアップリケを思いだし、ナミはくすくすと笑う。
「指の部分を一つ一つ編んだりしなかったのよ」
「・・・で、ミトン」
サンジが差し出した手にナミはてぶくろに包まれた自分の手をのせる。
「・・・そう、ミトン」
でもね、とナミは悪戯っぽく笑い、自分のてぶくろの中にサンジを手を引き入れる。
てぶくろの中で重なる手のひら。
「でも、今は好きなのよ。だって温かさニ倍じゃない?」
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