少数お題集
31.やわらかさ <ゾロ+くいな>
己にはない柔らかさを持つくいなの太刀筋をゾロは真剣に見つめる。
何が違う?
稽古後、腕を掴んで違いを調べるゾロにくいなの平手が飛んだ。
(09.11.17/65words)
32.痛み <ゾロ>
鏡に映る自身の首筋に赤い爪痕を見つけ、ゾロは小さく笑う。
女が残したその痕は、無数に刻まれたどんな傷とも違う痛みをゾロに与えた。
(09.11.18/64words)
33.好き <ゾロ(ナミ)+ビビ>
甲板で笑うナミを離れた場所でゾロが見つめている。
「目は口ほどに、ですね」
不意に聞こえてきたビビの声にゾロは慌ててそっぽを向いた。
(09.11.19/64words)
34.今昔 <ゾロ>
一年にこの日だけ、特別に上等な酒を和道に振舞う。
まだかかりそうだがちゃんと待ってろよ。
月明かりの下、友に向けゾロは刀を突き上げた。
(09.11.20/65words)
35.渇き <ゾロ>
いつまで人を斬り続けるのか、との問いにゾロは、死ぬまでだと答える。
この刀が血に濡れなくなった時。それが俺の死ぬ時だとゾロは笑った。
(09.11.21/65words)
36.浪漫 <サンジ+モンブラン・クリケット>
煙草を切らした男にサンジが箱を差し出す。
「アンタ見てるとどっかのクソジジイを思い出す」
ニヤと笑い、若い夢追い人は火を寄こした。
(10.03.03update/63words)
37.欲 <フランキー+ロビン>
「欲ってなァ尽きねェもんだな」
船大工たる夢の叶った男が笑う。
何が欲しいの、と問うた女を指差せば、女は、無欲な人、と微笑んだ。
(10.03.09update/62words)
38.別れ <ヒナ+スモーカー>
「死ぬなら私の目の届かない所にして頂戴」
地獄のような戦場で背を預けた男にヒナが笑う。
アナタに私の涙など、死んでも見せてはあげない。
(10.03.12update/65words)
39.季節 <たしぎ+スモーカー>
懐かしむ瞳が新兵達を見つめる。
どれ程成長できたかと、自己を顧みる背を低い声が呼ぶ。
近くて遠い背を、足元に躓きながらたしぎは追った。
(010.4.26update/65words)
40.贈り物 <シャンクス>
失われた左手を見つめ、男はにやと笑う。
「この先当分退屈しねぇと思えばな」
いずれもたらされる未来を思い、男は楽しげに肩を揺らした。
(10.04.26update/64words)
[前頁]
[目次]
[次頁]