字書きさんに100のお題


  34.69 <ゾロナミ> Date:  

グラス二杯で400ベリー。
場末と言う言葉でしか表せないような酒場のカウンターから安酒をもらってテーブルを見れば、ゾロの背に手をまわす女の姿があった。
酔客なのか、しな垂れかかる背に長い髪が揺れた。ゾロは微動だにしない。
酒を持ってテーブルに戻ると、女が顔を上げる。化粧の濃いけれどなかなかに肉感的な美人は、ナミの姿を見て小さく舌打ちし、その場を離れた。
ナミは肩を竦めから椅子に腰をかけた。
「昨日の夢でよ」
何事もなかったかのように、ゾロはそう切り出す。
「お前が俺に抱いてくれって可愛くおねだりしてきたんだ」
ゾロの言葉にナミの目がすう、と細まった。そんなナミの表情の変化に気づかない振りで、ゾロは言葉を続ける。
「だから、抱いてやるぜ」
合成酒としか思えない粗悪な酒に眉をひそめ、ナミは小さく溜息をついた。
「冗談だったら笑えるけど、口説き文句だとしたら全然笑えないわね」
「そりゃ、悪かった」
言葉とは裏腹に、悪びれる風でもなくゾロは笑った。
「女、口説いたことなんてねェもんでな」
「口説かなくても勝手に寄って来るって訳?」
ナミの皮肉をニヤリと笑ってゾロは流した。
それ以上の言葉を見つけられず、薄暗い店の僅かな灯りを弾くピアスをナミは見つめた。それから視線を横に動かす。

目つきは悪いが、まぁ好い男なんだろう。歪めた口元、そこから出る声も悪くはない。
視線を下にずらす。いい身体もしてる。アッチの方はどうだか知らないけれど。

「で? 女を口説いたことのないロロノア君がなんでまた私に?」
「言ったろ? 昨日の夢にテメエが出てきたって」
「それで?」
「夢と同じかどうか試してみたくなった」
そう言ってゾロは視線をナミに纏わりつかせた。
身体中を撫ぜるような眼差しの強さに、ナミは背筋を粟立たせた。ザワザワとせり上がってくる欲望がナミをある方向へと駆り立てる。
「それで私をどうしたいの?」
ゾロはナミの目の奥を見つめ、笑い含みの声を潜めた。
「舐めて、しゃぶって、しゃぶらせる」
濡れた何かが身体を這い回る感覚。
何て声を出すのか。ナミは眩暈すら感じた。だが、ただ呑まれるのは癪に障る。
「夢ん中で勝手にそんなことさせんじゃないわよ」
ギャラ請求するわよ、とそんなナミらしい言い分にゾロは、くくく、と低い笑いを零した。
「それで、良かったんだ? 夢ん中の私は」
「あぁ」
「バカねぇ、アンタ」
ナミは一息でグラスを空にすると、そのグラスをコトリとテーブルに置く。
ゾロを軽く睨めつけ、その手からグラスを取り上げ、それも一気にあおる。
「本物の方が百倍はイイんだから」
挑発的な笑みで唇を飾り、ナミは立ち上がると、人差し指でゾロを招いた。




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Z to N. words:昨日の夢でお前俺に抱いて!と可愛くおねだりしてきたから抱いてやる by ふふ様

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