字書きさんに100のお題
目の前の意外な光景に、フランキーは目を見張った。
すらりとした手足に、凛とした立ち姿。あれは麦わらの一味にいた女だ。その足元に、これまた見覚えのある女が転がっていた。
CP9。
オレ様に縛り入れてくれやがった女だ。てことは、このオネェチャンが――
戦闘員には見えない、ただの小娘かと思っていたが、どうしてどうして。
フランキーが声をかけると、ナミは驚いた顔で振り向いた。
身体中薄汚れて、あちこち傷だらけで、それでも誇らしげにナミはフランキーに笑顔を向ける。
いい顔しやがる。
つられて思わず弛んだ頬を、それどころではないとフランキーは慌てて引き締めた。
計画的かどうかは疑問の余地のある計画を立て、二人は走り出した。
先を案じたフランキーの言葉に対するナミの答えは至極単純なものだった。
「後ろは"死の滝" 前は"謎の道" どっち選ぶ?」
うっすらと不敵な笑みすら浮かべる顔の、その瞳には迷いの色は微塵もない。
全く呆れるくらいに思い切りのいい女だ。
「流石に政府にたてつくだけあるな」
「え?」
「大したタマだっての」
フランキーは盛大に破顔し、サングラスをひょいと上げる。
「気に入ったよ、オネェチャン。この件が片付いたら俺と付き合わねェ?」
軽口を叩きながらフランキーは不器用にウインクしてみせた。
そんなフランキーを走りながら見上げ、ナミは二度三度と目を瞬かせる。それから、ぷっと吹き出すと、涼しげな笑みを目元に浮かべて口を開いた。
「それはちょっと考えさせて?」
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