字書きさんに100のお題


  82.暗闇<ウソップ+ナミ> Date:  
「あ? また改造?」
差し出された天候棒を受け取りながら、俺は首を傾げた。
何でまた。
「もうワンランクアップって言われてもなぁ」
天候棒を工房の上に置いて腕組みする。
「水出したし、鳩出したし・・・・・あと何出したら面白ェかなぁ?」
金、なんてのは面白ェと思うけど、間違いなくNGだろうし。
笑いのワンランクアップってのは、これ、相当難しいぞ。
出し物ネタを考えていたらもの凄い勢いで首を絞められた。
「そうそう、その件についてはじっくり話し合う必要があると思ってたのね、最初から」
こ、怖ェ。
顔は笑ってるけど目は笑ってねェ。
「てことは、武器としての威力を上げろってことなんだな」
「忘れてるのかも知れないけど、私は最初の最初から武器を頼んでたの」

けどよ。
これ以上威力を上げたら、相手をぶちのめすだけじゃ済まんかも知れないぜ。
「なぁ・・・・俺思うんだけどよ」
天候棒から目を離し、ナミを見る。
「お前は航海士だろ? 別にんなわざわざ危ねェトコに顔突っ込むような真似しなくてもいいんじゃねェか?」

海軍大将なんて大物が出張ってきたのがついこの間だ。
仲間が失われるかも知れない、その恐怖をまざまざと感じさせられたあの日。
正直、あんな思いはもうご免だった。
あれ程の圧倒的な力の差を見て、こいつ等はまだ戦おうとするのか。
あの日から俺の胸には得体の知れない闇が巣食っている。

「でも、皆と一緒に行きたいもの。この先もずっと」
笑む瞳の奥に光が見えた。恐怖に負けぬ強い光。
「あいつ等より強くなって、いつかボディガード代取ってやるのもいいかもね」
ナミは指で金のマークを作っておどけてみせた。さっき漏らした本心が照れくさかったのだろう。
けれど、瞳に宿る光は変わることなく。それは俺の胸を鈍く疼かせた。
胸の痛みを抱えたままで俺は笑った。
「お前はイイ女だなぁ」
これはごまかしなんだろうか?
「気づくの遅すぎるわよ」
冗談めかして反論するその笑顔が、俺には心底眩しかった。




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U to N. words:お前はイイ女だなぁ by 子猫ちゃん

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