83.仲直り <ゾロナミ> | Date: |
風呂上り。
どこまでも続くアルバーナの王宮の長い廊下は、どこまでも騒がしかった。
「おい、待てよ!」
呼び止めるゾロを一顧だにせず、ナミは乱暴な足取りでズカズカと進んでいく。
「おい、ナミ!」
「うるさい、この鈍感男! 馬鹿! むっつりスケベ! マリモ! インポ!!」
ちょっと待て。せめて最後の二つは取り消せ。
「何で風呂覗かなくて怒られなきゃならねぇんだよ。逆だろ普通」
「それがムカつくってのよ! 折角サービスしたってのに。何よ、すかして」
「金とんのはサービスって言わねェだろうが!」
「何言ってんのよ、さっき私が言ったのはチップの額!」
「何でチップの額をテメェが決定してんだ!」
そんな押し売り的サービスあるか。
ナミはふん、と鼻を鳴らして不毛なサービス論争を打ち切り、さっさと廊下の角を曲がる。ゾロは慌ててその後を追った。どう考えても一人では部屋に戻れそうになかったからという理由もある。
「おい!」
小走りに角を曲がると、そこには仁王立ちのナミがいた。
うおっ、と口の中で声をあげ、ゾロは足を止める。
「とにかく」
ナミは、ずいと身を近づけると睨むようにゾロを見上げた。
「私は怒ってるの! 傷ついてるの!」
「だから何でだよ!?」
「この・・・・・鈍感男! 馬鹿! むっつりスケベ! マリモ! インポ!!」
・・・・だから最後の二つは撤回しろっつうの。
ナミは右の手のひらで自分の胸元を押さえる。
「惚れた男に興味持ってもらえないなんて!!」
一気に捲し立てた後、すぐにナミは我に返ったようだった。
「へぇ?」
ニヤリと片頬を持ち上げるゾロを見て、ナミの顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
「見て欲しかった訳だ。俺に」
俺に、の部分をゾロはいやらしく強調する。
「そいつァ悪かったな、気づかなくて」
「・・・・・・アンタ、全然悪いと思ってないでしょ」
真っ赤な顔では折角の睨みも威力半減で。
思ってる思ってる、と可笑しそうに喉を鳴らしながら、ゾロはナミの頭に手を置く。
「すみません私が悪ぅございました」
な?と同意を求め、ゾロはナミの頭に置いていた手をスルリと腰まで落とすと、やおらナミを抱え上げる。
「お詫びにこれからじっくり見てやっからよ」
手近な扉を開け、中に誰もいないのを確かめると、ゾロは、からかうような笑みを目に浮かべてナミを見た。
「こっから先は完全無料奉仕で頼むぜ?」request
Z to N. words:すみません私が悪ぅございました by じょんじょん様