あいうえお44題


  た : ただ一つを願い <ゾロ> Date:  



ただ一つの言葉を待っていた。
廃船島の突端で嘘つきが一人、喚き続けている。
その口からとめどなく溢れる言葉の中で、ただ一つの言葉を待っていた。

弱くて逃げ足だきゃァ早くて。そのくせ、プライドだけは誰よりも高い。
お陰でここ一番て時には、卑怯者になりたくともなれないことも知っている。

だから、早く言いやがれ。


砲煙弾雨の中、嘘つきの叫ぶ真実が響き渡る。

ようやくでその言葉を聞くことができた時、もしかしたら俺が一番にほっとした顔をしたのかもしれない。
泣き笑いのナミが俺を見て、一層大きな笑みを浮かべた。

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