*については裏書庫に続きがあります。
表書庫


  SLOT* Date: 2003-09-26 (Fri) 

「おっかしいわねぇ...」

声にイライラの成分を大量に含ませ、ナミはひとりごちる。
場所は由緒あるホテル。
そして目の前には、大きなスロットマシン。
アルバーナでの一件がようやく片付き、今日はめいめいが休日を楽しんでいる。

・・・はずなのだが・・・

ナミも朝から上機嫌でおしゃれに力を入れていた。
戦いの最中から気にはしていたカジノにようやく行けるとなればそれも道理だろう。
白いシルクのドレス。大きく開いた背中を薄いショールで隠す。
髪をアップにしたナミは文句なく美しいのだが、何故か声をかけてくる男はいない。

手持ち金の減り具合に比例するようにその機嫌は急降下しているのだ。


「あーっ、もーうっ」


と最後のコインを入れ、スタートレバーを押す。
半ばやけ気味にストップボタンを押そうとした瞬間手首を掴まれる。


「ちょい、待ってください。ナミさん」

頼みもしないうちから本日のエスコート役をかってでたサンジの声。

サンジは、すっとナミの横に顔を寄せ、リールを見つめる。
と、その長い指でストップボタンを押して行く。


・・7・・・7・・・・7 !!


果たしてそこに現れたのは7の三つ揃い。当然大当たりである。


「きゃーっ、サンジ君えらいっ !! 」

思わず抱きついてくるナミ。薄い衣ごしに柔らかい躰の感触。


―役得、役得...ちょいと刺激が強いけどな―


複雑な表情を立てなおし、ナミを座らせる。
「ナミさん、もう少しやってみなよ。俺後ろでフォローしますから」
「あれ、サンジ君はもうやらないの?」
サンジは両手を胸の前でひらひらさせる。
「んー、じゃぁ、お言葉に甘えて」
と遊戯続行。サンジはナミの後ろにつき、さりげなく他の男の視線をシャットアウトする。





「もーっ、幸せー v ホント今日のMVPはサンジ君ね」
喜色満面といった感じで腕を絡めて歩くナミをサンジはにこやかに見つめる。
「俺は手伝っただけですよ。勝利の女神の実力ですって」
「んー、でもお礼はしたいわ。何か欲しいものとか、食べたいものある?
 あんまし高いものは困るけどね」
笑うナミにサンジは、うーんと唸って
「今、俺が欲しいものは、ものっすごく高いと思うんですよねぇ」
「え?それって何?」

小首をかしげて聞きかえすナミの手をとり、サンジはその甲に口付ける。
「勝利の女神の御身を...」
気づくとナミのもう一方の手にはこのホテルのキーが握らされている。
「え...?ここってもの凄く高くて有名なんじゃ...」


と、何かに思い当たる。
「サンジ君、騙したわね。ホントは勝ってたんでしょう?」
上目づかいで軽く睨むナミにしれっとしてサンジは答える。
「負けたなんて、俺一言も言ってないですよ」


―やられた..かなわないなぁ、もう―


「じゃあ、早くお部屋にエスコートして下さる?」
ナミの言葉に、今度はサンジが満面の笑みを浮かべて指を鳴らす。
―Bingo !!―




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