+裏書庫+
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SLOT 〜at bedroom |
Date: 2003-09-26 (Fri) |
ベッド脇にミニバーを備えるその部屋は、先程までの静寂とはうってかわって現在は喧騒に包まれている。
原因はバスローブに身を包んだ対照的な男女。
女は、常には白いはずの頬を紅潮させ、男にくってかかっている。
その表情は照れが半分、拗ねが半分といったところか。
男は、ことのほか上機嫌で、微笑み(というにはいささか人の悪いモノだが)を浮かべて聞いている。
「あっっっつーいっ !! もうっ、サンジ君の所為だからねっ」
タバコを口の端に、にやりと笑うと、サンジは
「コレでご機嫌直して下さいよ、女神様」
と小さな扉を開ける。
ずらりと並ぶのは色とりどりのミニボトル。
「さっき、ずいぶん鳴かせちまったから、喉乾いてるでしょう?
何か作りますよ」
一層頬を紅潮させたナミが投げつけるクッションを、持ち前の俊敏さで避けつつ、サンジは手際よくグラスを並べ・・・
できあがったのは琥珀色の美しいカクテル。バーボネラ。
ナミのおねだりを断る術を持たないサンジは、すっかりナミのペースで杯を重ね・・・
「だいじょぶ? サンジ君?」
「...えぇ?..だっ、大丈夫ですよぉ、ナミさぁん v」
十分語尾のあやしいサンジ。
「そぉ、じゃ、ちょっとこっち来て」
ベッドの脇に立って手招きするナミに、おぼつかない足取りでサンジは近づく。
ベッドと自分の間にサンジを挟むと、ナミは、それはそれは可愛らしく微笑む。
「せーのっ v 」
でサンジの足首を払う。
「へっ?」
強靭なはずのサンジの足腰も酔いには勝てない。
なにより、サンジはナミの微笑みに見惚れてしまっていたのだ。
ドサリと仰向けのままベッドに倒れこむサンジ。
起きあがろうとした腕をナミに抑えこまれる。
「な、ナミさんっ !? 何す...んっ...」
言葉の続きはナミの唇に奪われる。
「さっきは随分サンジ君にいい様にされちゃったから...
今度は、私の番....」
頭が痺れるのは、躰が熱く滾るのは酒の所為だけではない。
そして、自分に馬乗りになるのは、先程、無邪気な微笑を見せた少女ではない。
―何て人だ。あなたは―
口の端から漏れた唾液を自らの舌で舐めとる。
その凄絶なまでの色香にサンジは恐怖すら覚える。
「ナミさ....ってっ....」
「黙って....」
ナミがサンジの下唇に歯をたてる。
小さな裂傷に、じわりと血が滲む。
しばらく傷口を丹念に舐めた後、ナミはサンジの口腔へ舌を侵入させる。
挿し入れられた舌に応じると、血の味が口中に広がる。
「んっ....ふっ...」
微かな吐息と共にナミは一心にサンジの唇を貪る。
柔らかい唇。紅い唇。それはサンジの流す血の色。
柔らかい舌。甘い舌。それはサンジの流す血の匂い。
今のナミの妖艶さに血の匂いはよく似合う。
―クソったれっ、血の匂いで興奮するなんて、俺はケダモノかよ―
自嘲してみたところで、昂ぶりがおさまるはずもなく。
サンジの躰の変化に気づくと、ナミは唇を離し、クスリと笑う。
「サンジ君....熱くなってる....」
くすくすと笑いながらサンジのバスローブの紐をとく。
スーツを着こんでいると、華奢に見えるサンジの躰。
しかし、直接にその肌を見、触れてみるとその認識を改めざるを得ない。
あのレストランにおいては、料理の腕だけで副料理長の座を維持することは不可能だろう。引き締まった肉体はその賜物と言ったところか。
「・・・ナミさんこそ...すげぇ、濡れてるぜ..」
自らの腹部に確かに液体の存在を感じ、サンジも何とかやりかえす。
全く力を欠いたサンジの口調に動じることなく、ナミは細い指先をサンジの鎖骨にあてる。
「そんなコト言うと、後が怖いんだから...」
顕わになったサンジの胸へと指を這わせる。
捏ねるように一点で指先を廻すと、それまで平坦だった胸に突起が浮かび上がる。
ナミは、再び微笑むとサンジの胸へ顔を寄せる。
左の乳首をぺろぺろと舐め上げ、右の乳首へは爪の先で軽い痛みを与える。
「...っ、ナミ、さん...っく..」
堪らず、サンジの口から喘ぎが零れる。
「ふふっ..サンジ君もいい声..」
からかうようなナミの声の中に存在する、欲情の欠片にサンジは気づいたろうか。
ナミは舌を突き出したまま、胸から硬く締まった腹筋へと顔を下げる。
そして、更に下部へ。
ナミの目の前には熱く滾るサンジ自身。
既に液体を滲ませた鈴口に指を置くと、そのまま根元の方へと滑らせる。
「っつっっ....」
指を数度往復させるたびに液体の量が増し、ナミの指の動きが滑らかになる。
「....今度は私が..味見する番ね..」
と、ナミは自らの口の奥深く迄サンジを頬張る。
「うわっ...つうっ....」
局部から快感がせり上がってくる。
快楽に顔を歪め、腰を引きつらせるサンジを今度はナミが堪能する。
ぐちゅ、ぐちゅとナミの口内でサンジ自身が、何度も淫靡な音をたてる。
ナミは一旦サンジを解放すると、舌先を窄めて裏の筋から鈴口を刺激する。
「..っく..ナミ、さんっ...もうっ...挿れたいんっす..けどっ」
切羽詰ったサンジの声。
「いいわよ、じゃあ私のトコに来て...」
ナミはその場を動かない。
「くっ....」
サンジは身を起こそうとするが、酔いと快感で体に力が入らない。
その様子を見たナミは艶然と笑うと
「私ですら、少し酔ってる位だもの..動けないでしょう、サンジ君...
..で、どうしても私に入りたい?」
酷な質問をする。
「あぁ、コレじゃ生殺しだぜ、ナミさん....」
顔に汗と苦笑を滲ませ、サンジは応える。
「じゃあ、お願いして、サンジ君」
切ない声で素直に応えるサンジに、満足げにナミはそう言い放った。
男の肩が小刻みに動き、滲む汗によって湿り気を増した金糸の髪もさわさわと揺れる。
―全く、ざまぁねぇな。俺も―
サンジはゆるゆると右手を動かす。
右目にまで髪が張り付いている所為でナミの顔もよく見えない。
邪魔な髪を掻きあげようとして、失敗した。
汗ばむ掌がぱたりと目の上へ落ちる。
―この俺が女にいい様にあしらわれるたァな―
サンジは目を覆ったままくくっ、と僅かに喉を鳴らす。
―しかも、それが悪い気がしねぇんだから―
ゆっくりと髪を掻きあげると、その目に映るのは艶やかに微笑む女。
華奢な-しかし男の劣情を誘うには十分過ぎる-躰をバスローブに包み、自分を支配する。
―無茶苦茶に参ってんだろうな、この残酷な女神様によ―
サンジはにやりと一つ笑うと、芝居がかった口調で言う。
「お願いします、女神様。憐れなこの男にその愛のお恵みを・・・」
サンジの言葉に相好を崩すナミ。
僅かに開いた唇から、並びのよい白い小さな歯がのぞく。
その唇の紅さとは対照的な白。
―あぁ、舐めてやりてぇ―
そんなことを思っていると、その白が眼前に迫ってくる。
サンジの腰に跨ったナミが笑いながら顔を寄せてきたのだ。
くすくすと笑いながら、白いその手をサンジの額にあてる。
ナミは、額に浮く汗を拭うように、未だ纏わりついている細いその髪を除けてやる。
そして、先程自らの髪を掻きあげて力尽きたサンジの手首を抑えつつ、更に顔を寄せる。
吐息も届く程の距離まで唇を近づけてからナミは囁いた。
とても密やかに、そしてとてもやわらかに。
「よく言えました、いいコね..」
ウインクを一つ、そしてキスを一つ。
待ち焦がれていた筈のその唇を、しかし、サンジはすぐに手放した。
手放さざるを得なかった。
突然、サンジ自身がぬるりと湿ったモノで包まれる。
温かい、そう思ったのは一瞬だけで、その後はこそぎとられるような強烈な締め付けに
頭の芯がびりびりと痺れた。
「うぁっ....すげっ...え、ぜっ..」
快感を伝える言葉がサンジの口を思わずついて出る。
そしてそれはナミも同じだった。
自らが動いて、自分からサンジに与えるつもりだった。快感を。
サンジの頭の部分を体内におさめたときに聞こえてきた水音にナミはびくりとする。
その口でサンジを味わっていた時から自然と水が湧きあがっていたことは自覚して
いたが、まさかこれ程とは思っていなかった。
くちゃり...
情交の時以外には聞くことも感じることもないであろう淫らに粘る水音。
―ゆっくり焦らしてやるつもりだったのに―
その音がナミに当初の目的を忘れさせた。
「・・・んぅ..あ、あぁぁぁぁっっ...」
躰が求めるままに一気に腰を沈める。
天辺まで突き抜けるような快感にナミは自分の身を抱いて震えた。
下腹部が、そしてその奥の壁もがどくどくと脈打つのが分かる。
サンジの持つ熱の所為なのか、触れ合うその部分が燃えるように熱い。
衝撃的なほどの快楽をやり過ごすかのようにナミは動かない。
しばらくの間、互いの荒い息遣いだけが部屋に満ちる。
淫靡な沈黙を破ったのはサンジだった。
「ナミさんの中、すげぇ動いてる...気持ちいいんだ?ナミさんも」
幾分余裕を取り戻したのか、サンジはそう言ってにやりと笑って見せた。
「ふーん、サンジ君そんなコト言っていいのぉ?」
そう言って微笑みかえすナミ。
そして、息を一つ吐き出すと、快感の波がようやく通りすぎた躰をゆっくりと引上げる。
襞を擦りながら徐々に抜け出るサンジ。
その幹を流れ出た愛液が伝って落ちていく。
ナミは腰を浮かせたまま、入口付近でサンジを刺激する。
「っう...くっ...」
苦しげに顔を歪ませるサンジを、小さな喘ぎにその喉仏を引き攣らせる様をナミは見つめていた。
その表情は、実際に感じている浅い刺激以上にナミに興奮をもたらす。
サンジの顔を見つめながら腰を回すナミ。
だからナミは気がつかなかった。
ベッドに投げ出されたサンジの手に徐々にではあるが確実に力が戻っていくのを。
「ねぇ、奥まで挿れてよ、ナミさん」
「いやっ」
つん、と横を向くナミ。
「じゃあ...せめてバスローブ脱いで」
「いーやっ」
ナミはふるふると首を振る。
躰を繋げたままで、表情だけは拗ねた少女のようだ。
そのギャップの大きさにサンジは眩暈がする気がした。
「言うとおりにシテくれないなら、俺、動いちまいますよー」
「動けるならどうぞ....って、うそっ!!」
サンジに向けた余裕の笑みが一転、驚愕の表情に変わる。
じゃあ、お言葉に甘えて、等と言いながらサンジはその身を起こしてナミを組み敷く。
「っや、あぁっ」
驚きもがくナミの腰を抑えると、ずぶずぶと自身を埋め込んでいく。
「っきゃああぁぁぁぁぁぁっ.....」
「あ、ははっ、ようやく....我が念願叶えり、かな、ナミさん」
苦笑を浮かべつつサンジは、いそいそとローブの紐をとき、合わせた前をゆっくりと開く。
「ようやくナミさんの肌も拝めましたしね」
そう言いながらサンジは顕わになったナミの躰に顔を埋める。
首筋に、豊かな乳房に何度も唇を落とす。その度に、乾ききっていない唇の血が
ナミの白い肌に鮮やかな朱の花を咲かせる。
「・・・っなっ、何で? サンジ君っ、い、いつから動けるようになったのよっ」
茫然自失の状態からようやく回復したナミは、どもりながらもサンジに問いかける。
今度はサンジが余裕の笑みを見せる番となる。
「ナミさん、男の、っていうか俺の回復力侮ったらいけませんよ」
ウインクを一つ。そしてナミの中を深く突き上げ始める。
「ああっ...あ、やっ...」
「やっぱり....ナミさん、すげぇ」
うねる様に腰を送り込みながら、サンジは目の前で揺れる豊かな胸に舌を伸ばす。
先程自らがつけた血の跡をぺろりと舐めると、それを塗り付けるように頂きに舌を擦り付ける。
十分に尖りきったその先を、まだ足りないといった風に何度も舐めあげる。
その際に乳房をかすめるサンジの髪。
その僅かな感覚にもナミの躰は敏感に応えた。
「っ、すげぇ、ナミさん。絡みついてくるみたい、だぜっ」
荒い呼吸を繰り返しながら、サンジは言葉を押し出す。
もはや止むことのない快感に、胸に活けられた花にも負けないほどナミの躰は赤みを増していく。
サンジに揺らされるままに、シーツの上を泳ぐナミ。
はだけたバスローブは、辛うじて両の腕で止まっている。
その姿は浴室で全てを晒した時よりも、女の持つ妖艶さを煽りたてる。
くちゃくちゃ、とサンジが動く度に響く水の音。それはナミの甘い喘ぎにも消されることはなく。
その量がいかに夥しいものであるかは、自分の腿の濡れ様でよく分かる。
その音が、滴りがサンジの理性を薄めていく。
ナミの腰に両手を廻すサンジ。
そのまま握り潰せてしまいそうな細さと柔らかさに改めて驚かされる。
サンジはその手を自らの方へゆっくり近づけていく。
「っはっ、あぁぁぁっ...だめっ、サンジ君っ、も、う、入らなっっ」
高い声と共に背と喉を反らせるナミ。
その喉元にもサンジは1輪の花を咲かせ、吐息まじりに囁く。
「くっ..行かせてよ、ナミさん...ナミさんの一番奥までさ...」
片方の手をナミの腰から外すと、サンジは繋がった部分へと指を運ぶ。
無理だと言いながらも、きつく自身を捕えて離さないナミの秘唇。
その上で濡れて光る突起。サンジの指の目標はソコだった。
ぬめる表面を指の腹で撫ぜると、大きな喘ぎを一つこぼしてナミの躰から力が抜ける。
サンジはその瞬間を見逃さなかった。
ナミの膝を持つと自分の肩の上へと担ぎ上げる。
そのまま一気に腰を入れ、強く揺する。
何処までも柔らかかった内部で、こつんと異物にぶつかる。
それが最奥の証。
「っんんんっ、あぁっ..あぁぁぁぁぁぁっ、サンジ君、サンジ君っっ」
必死で自分の名を呼ぶ、その姿が愛しく、サンジは形のよいその足に何度も唇を寄せた。
「あ、たし、もうダメっ...あ、くっぅ、イクっ..くぅぅぅぅぅぅぅぅんっっ」
絶頂を伝える叫びとその瞬間に見せた表情の淫らな美しさ。
ビクビクと締まり続けるナミの膣内をこじ開けるように、自身を潜りこませると、程なくサンジ
にも限界が訪れる。
「っ..う、俺も、も..う、無理そうっ...ナミさんっ、くっ」
直後、サンジの絶頂の証が、朱の花咲くナミの胸に新たに白い花を咲かせ――――
―――こつん
肩に感じた軽い衝撃に、ふとサンジは目を覚ました。
「あれ?寝ちまってたのか...」
肩にあたったのはナミの額。
寝返りをうってぶつけたらしい。よほど疲れたのか、ナミは構わずに寝息をたてている。
「ナミさん・・・・」
サンジはナミを起こさないよう、頬にかかるオレンジの髪を払ってやる。
現われたのは、無垢な子供のような安らかな寝顔。
その表情を見て、サンジは思わず苦笑する。
―誰にも負けないくらいの淑女のようで、誰よりも淫らな娼婦のようで....
可憐な微笑を持つ少女で、でも、寝顔は何も知らない子供のようで―
再び睡魔に襲われながらも、ナミの頬にそっとくちづける。
―出目の分からない貴女こそがスロットマシンですよ、ナミさん。
だけど俺ァ勝負しますから、覚悟しといて下さい。賭け金は俺の人生ってコトで・・・・―
そこまで考えたところでサンジの意識が途切れる。
ぐったりとベッドに身を沈めるサンジ。
夢うつつのままにナミを抱き寄せると、その後を追うように深い眠りの世界へと落ちて行った。
終
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