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  BODY-Sponge Date: 2004-05-11 (Tue) 
湯を止め、ナミはシャワーをごろりとバスタブの底に転がした。
目の前にはバスタブに顔を突っ込んだまま身動き一つしない男がいる。
濡れた金髪の先から落ちた水滴は、バスタブの底でパタパタと音をたてる。

シャンプーの後、サンジは大人しくされるがままになっている。
サンジはシャツを着たままでバスタブ内に頭を突っ込み、縁に両手をかけている。
ただ、そのシャツのボタンは全て外され、ズボンのファスナーも下ろされたままになっている。

どうやら髪を洗ってもらっただけではなさそうだった。

ナミはその金髪を束にし、軽く絞るとナミの指の隙間から水が流れた。
水をきったその頭にナミはタオルを被せる。
タオル越しに二度、三度、頭を擦と、毛先から辺りへと水が弾ける。
水を吸ったタオルはナミの手の内でじわりと重さを増した。

「いいコ」
ナミはにっこりと笑うと、タオルから手を離す。

サンジは無言のままナミの方へと向き直り、その場にへたり、と座り込む。
タオルをかぶったまま項垂れる、その表情は見えない。

「あー、もー死にそう」
よれよれの声でサンジは溢す。
「つーか、天国が見えたね、マジで」

くすくすと笑う小悪魔の声を聞きながら、サンジは力なく手を伸ばす。
「やっぱ濡れちゃったよ。ナミさん、脱がしてくれません?」

項垂れたまま手を伸ばすサンジを見て、ナミは仕方ないわね、とまた笑った。
ナミはサンジの前に膝立ちになる。
その両手がサンジの首筋に触れた。
シャワーの所為か、汗の所為か熱く湿った肌を指先に感じる。

シャツを浮かせ、両の肩からシャツを落とす。
顕わになった上半身。
途端に周辺がが男の匂いに包まれた、そんな気がした。

湿ったこの部屋の所為かも知れない、とナミは思った。
重くなった空気は水気とそして淫靡な香を含み、人を惑わせる。

視線を落とせば、首筋を伝い背へと落ちて行く滴が目に入る。
広い背に走る一筋の濡れたライン。
それをなぞりたくなって思わずナミが手を伸ばそうとした時、サンジの腕がナミを絡みとった。


「―――!!?」

声をあげる間もない。
パサリとシャツが床に落ちた。
サンジはナミを抱いたまま立ち上がると、水のないバスタブの内へとまたぎ入る。
絶句したままのナミをバスタブの隅に下ろし、壁に両手をついて退路を塞ぐ。

「・・・サンジ君―――?」
名を呼び、見上げる瞳は濡れている。
サンジは口づけを返答に代えた。

挿し入れる舌でナミの口腔を攻める。
歯の内の滑らかな粘膜をなぞれば、温かな唾液を感じる。

「・・・・・ん・・ぅ」
鼻に抜ける甘い吐息でナミはサンジの舌を迎える。
舌同士が触れ合う度、内部でくちくちと水音が弾ける。

二つの唇が僅かに離れる。
互いの額をつけたまま、二人は共犯者の笑みを浮かべる。

「どうするの? こんなとこに連れてきて」
熱っぽい声。
問うナミの口が閉じる前に、サンジは至近距離で囁く。
「ねぇ、舌出して。ナミさん」

開いた暗がりから濡れた舌が現れる。サンジも同じように舌を伸ばし、絡める。
そのぬるりとした感触。表面に感じるざらつき。
ちらちらと視界に入る互いの濡れた器官。
うねうねと動くそれを目の当たりにすれば、互いの興奮は更に深く身体の奥を刺激する。
外気に触れ、それでも尚濡れ続ける舌から唾液が細い糸を引いて落ちる。

「・・・ね、ここならいくら濡らしても心配ないでしょう?」

悪戯っぽい笑みを浮かべながら、サンジは右手を下ろす。
視線はナミに向けたまま、その手先はナミの短いスカートの中へと潜り込む。
指先は下着の上から正確に湿り気を帯びた中心をなぞる。

「――っ・・・・ん」
僅かに身を竦ませるナミの、その耳にサンジは低い囁きと大量の熱い息を注ぎ込む。

「ほら、ここはもう・・・・・こんなに―――」
そう言いながらサンジは指先を薄い布ごと窪みに押し込む。
途端に指先はじわりと温かな感触に包まれる。
じわりと染みが広がった下着は、サンジの指が離れても尚、窪みの形を写し取ったまま張りついていた。

「さっき言ったでしょ・・・・・・サンジ君の声で凄く感じるって」
熱っぽい瞳でサンジを見上げながらナミは言う。

「ずっと、感じてた?」
ナミのシャツをたくし上げながらサンジは尋ねる。
シャツを、そして現れたブラをも無造作に捲り上げる。くしゃくしゃになった布の塊は豊かな胸の上に纏められた。

「俺をイカせながら?」
先刻の痴態を思い出し、サンジは苦笑する。

肌を滑るサンジの手のひらにナミはくんと鼻を鳴らす。
「ん・・・・・熱くて仕方なかった・・・・」

「ホント・・・・汗ばんでる。って俺はもっとだけど」
サンジは笑いながら身体を曲げ、ボディーソープを取り上げるとバスタブの縁に乗せる。
カシュカシュと二度三度その頭を押し、中身を手のひらに吐き出させる。

「じゃ、汗流そか?」

そう言いながらサンジは手のひらに溜めた液体をナミの胸の上に垂らす。
火照った肌の上を白い液体が流れていく。
柔らかな山の上へ、或いは谷間へと。
ぽつり、と胸の先端から白い滴が落ちる。
身を清める為の液体が逆にその身を汚しているようで、その姿は例えようもなく煽情的であった。

「・・・・すっげ、興奮する。その格好」
サンジは思わず息をつめて見つめる。

「何、想像してるんだか」
ナミは嗜めるような笑みを浮かべ、自らの手で胸の液体を泡に変える。

「じゃ、残りは下に」
サンジはニヤリと笑うと、手のひらに残った液体をナミの下着の上に落とす。

「あっ、やぁん・・・」
ひんやりと、そしてぬめる感触が、熱くなりかけた秘所を舐めていく。
サンジはそのまま下着に手を伸ばすが、その中には触れようとしなかった。
指先は股の部分の細い両端を摘むと、それをくいと引き上げる。

「・・・あぁ!? な、に?」
縄のようになった布に秘所を擦り上げられ、ナミは驚きの声をあげる。
ざらつく布の表面はぬめる液体を得て、舐めるようにナミの秘所を刺激していく。

「あ・・あぁ、擦れて、・・・・んっ」
サンジが指を動かす度に、布はじゅくじゅくと音をたてる。
搾られたボディソープと体液が混じりあい、ナミの太腿を白い液体が伝っていく。
サンジは楽しげにその姿を鑑賞しているが、ナミにはもうそれを咎める余裕はない。

「あ・・・・あぁ・・・・・あ・・・」
ぎゅうぎゅうに押込められた快感が出口を求めて猛り狂っている。
それももう長くはもたない気がした。
あと一押しで出口にヒビが入る。

堪えるように合わせた歯の根が合わない。
グチュグチュとぬめる音とガチガチと硬い音が交互に頭に響く。

「・・・あぁっ、も、ダメェっ!!」
サンジの腕を掴むナミの手に力がこもる。

「ん・・・・あぁ・・・・・く、あぁぁ―――!!?」
しかし、その瞬間サンジの手は下着から離れた。

はっと顔を上げるとサンジは人の悪い笑みを浮かべてナミを見下ろしている。

「今イキそうだった?」

「・・・や・・・・何、で?」
切なげな瞳でナミはサンジを責める。
行き場をなくした熱が身体の内をじりじりと焼いていく。
ナミはもどかしげに両の太腿を擦り合わせる。無意識のうちに身体がそう動いていた。

「さっきのお返し」
サンジは小さく舌をだしてみせる。

「途中で止められると結構キツイでしょう?
お返しにもうちょっと焦らしちまおうかな、と思ってたんだけど――」

だらりと垂れていたベルトがカチリと鳴った。
サンジは下着をずらし、すっかり硬くなった自身を取り出す。

「ナミさんのその目で陥落」

指先をナミの下着の底にかけ、横にずらす。
僅かにその姿を現すナミの秘所。
サンジは、腰を落とすとその隙間に自身を埋め込んだ。

「んぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「っ、う・・・・」

堪らずサンジの口からも低い呻きが漏れる。
この体勢ではきつい筈のナミの胎内。
確かに入口はきつかった。
しかし、一度そこをくぐりぬけてしまえば後は容易くサンジを飲み込んでいく。
奥へ、奥へと。

「・・・う・・・・ふぅ」
完全に互いの身体を一つにすると、どちらからともなく溜息が零れる。
ナミの手が不安定にサンジの腕を動いた。

「首に手、回して」
「ん・・・・・・・」

酔ったような表情でナミは頷く。
ゆるゆるとナミの両手がサンジの首にかかる。

そう、とサンジは満足げに笑う。
「そして、片足をそこにかけて」

サンジは目線でバスタブの縁を示す。
ナミはおそるおそる足を開く。

と、サンジが強く腰を突き上げる。

「きゃっ、あぁぁっ」
その勢いにナミの身体は大きく揺れる。
大きく息を吐いてナミはサンジに訴える。

「や・・・・無理よ、こんなの・・・・」
「大丈夫。足、力抜いていいから・・・・・・しがみついてて」

宥めるように囁きながらサンジはナミを貫く。
二度、三度、打ちつけるうちにナミの身体から力が抜けていく。

「・・・あぁ・・・・凄、い・・・・かも・・・」

密着する二人の上半身。
突き上げ、引き抜く度、泡にまみれたナミの胸がサンジの胸板を何度も擦る。
ぬちゃぬちゃと音をたてて、二人の間で泡が湧き、落ちていく。
そんな泡が潤滑材となり、サンジの動きは益々滑らかになっていく。
そしてサンジ自身の達する深さは、ナミのあげる声は切なさを其々増していく。

上半身に感じる柔かさと下半身に感じる締めつけと。
異なる二つの感覚に飲まれそうになりながら、サンジは吐息混じりに囁く。

「ね・・・・ぇ、どう?・・・ナミさん?」
「ん・・・ぁ、あぁっ、すご・・・い・・・・どんどん深くなって・・・・あぁっ、またっ!」

言葉の途中で激しく突き上げられ、ナミは首を反らせる。
同時にサンジも目を細める。

「ナミさんも、凄、ぇよ・・・・・・ガンガン締めてくる・・・・っ」

荒くなっていく息の中、サンジは辛そうな乾いた笑いを浮かべる。
「早く・・・・イカせねぇと・・・っ、く・・・俺がヤベェ」

サンジはナミの腰から片手をはずすと、繋がったその上を下着の上から撫ぜる。
ぐっしょりと濡れているそこを探ると、僅かに浮かんだ突起に指先がかかる。

「あぁんっ!!」
その瞬間、ナミの身体がビクリと跳ね上がった。

「あ・・・くっ」
自身に絡みつく触手が何倍にも増えたような感じだった。
押し出されそうな程の圧力に、サンジは唇を噛んで耐える。

サンジの指が突起を擦る度に、その形は下着の上からもあきらかになっていく。
その度にナミの口からは悲鳴にも似た声があがる。

サンジの根元が見え隠れするその上で、快楽を吸って硬く腫れていくしこり。

「んぅ・・・・あぁ、お願・・い、もっと・・・強く・・・・」

懇願するようなナミの口調に、サンジは布の上に爪を立てる。

「ひぅっ!!」
身体を強張らせ、息を飲むナミ。
サンジは構わずしこりにひっかけるように爪を往復させる。
ざりざりと布を掻く音が室内に加わる。

「・・・ん・・・く、あぁ、う・・・・」
ナミの口から出る音はもはや快楽以外の意味を持たない。

「・・・・く、ぅ・・・も、キツイ・・・かも・・・」
ナミの内部は不規則な動きでわなないている。
弛んだと思えば締めつけられ、予測のできない快感にサンジは翻弄される。

「言って・・・・・ねぇ、その声、で・・・・・」
ナミは潤んだ瞳でサンジを見上げる。

「そしたら、私・・・も、う・・・・」

サンジはナミの腰を抱く手に力を込める。
その肩口に顔を埋めるようにして、ナミの耳元で囁く。

「イって・・・ナミさん・・・・俺、もう出ちまい・・そう・・」
荒い息と荒々しい腰使い。
快感の塊が今にも身体を突き破りそうだった。

「あぁぁん・・・・・ね、イキそうっ・・・あ、あぁ・・・もうっ、もう・・・」

ナミの太腿がわなわなと震えている。
きつく掴まれて扱かれ、サンジは息も絶え絶えに声を絞り出す。

「あ、あぁ・・・・俺も・・・・・イ、ク・・・・・くっ、うぅぅぅっ」

互いの呼吸が止まった一瞬の後、サンジはバスタブの底に絶頂の跡を落とした。




温かな湯気が湯をはったバスタブから立ち上る。
先刻の狂おしい程の熱気が嘘のように穏かな室内。

決して広くはないバスタブの中、ナミはサンジに抱えられながら湯に身を浸している。
「何か・・・・もの凄く疲れた・・・・」
くたりとサンジの胸元に頭を預けるナミ。

「仕掛けたのはナミさんですからねー」
サンジは笑いながら湯の中でナミを抱きしめる。

「結局服もびしょびしょだし・・・・」
泡だらけで外に放られた服の後始末を考え、ナミはうんざりと頭を垂れた。

と、目に入ったのがサンジの両手。サンジは包帯をしたままの左手を湯船につけていた。
「やだ、サンジ君! 左手濡らしちゃったの!?」

ナミは慌てて湯の中からサンジの左手を出す。

「あっ、あっ、ついうっかり!!」
サンジはさり気なくナミの手から左手を引き抜こうとして、失敗した。

「ダメよ、包帯とって。すぐ拭くから」
「あ、や、後で自分でやりますよ、はい」

そう言いながらもサンジは何とかナミの手から逃れようとする。
右へ左へ逃げようとするサンジの左手。
ナミが不審に思うのも時間の問題だった。

ナミは逃げようとする手を脇でがっちり固め、包帯をといていく。
現れた左手の表面の傷はすっかりと塞がっていた。
ほんの少し、傷の名残はあるが。

絶句するナミに、サンジは努めて軽く笑ってみせる。

「俺の特技って言うか、料理人の神秘って言うか・・・・
その・・・・・俺、手の怪我ってすぐ治っちまうんですよね・・・・はは」

ナミはサンジの手の裏を表をじっと見つめる。
確かに他に傷一つない。刃物だの火だのを日常的に扱っているくせに。

「じゃあ、何ともないの分かってて・・・・・?」

「や、ほら、折角ナミさんがサービスしてくれるっていう・・・か、ら・・・」

ゆっくりとナミが振り向く。
サンジの口の動きが止まる。

意外なことにナミは微笑んでいた。
ほっとするのも束の間。その笑みが徐々に凄惨なものへと変わっていく。

「そう・・・じゃあ、こっから先は有料よ」
ぴたり、とサンジの頬にナミは手のひらをつける。

「うわっ!」
「たっぷりと頂きますからね」
「うわわわわっ!!」



さて、行き着く先は天国か地獄か?




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