+裏書庫+


  決壊 Date: 2007-05-24 
*オモテNOVEL 100題NO.54『堤防』続編



全部吐き出して。貴女の中の何もかもを。


立ったままで密着する二つの身体の間をこじ開けるようにして、ナミの手はサンジの下肢に潜り込んでいた。
既にファスナーは下ろされ、前の開いたズボンから下着の黒が覗いている。
ナミの手は躊躇いの欠片もなく、下着の中に入り込む。手の甲を肉の薄い、硬く締まった下腹部に滑らせ、そこに付いてしまいそうな程に反り返ったペニスに指を回した。
瞬間、僅かにサンジが腰を浮かせると、ナミの手は吸い付くようにその幹を握り、まるで挿入をせがむように大きくその手を上下させた。
サンジはナミの肩口に頭を落として大きく息を吐いた。尚も己を昂ぶらせ続ける指の動きに、サンジが小さく頭を振れば、金の髪がナミの肩の上を擽るように掠めた。
「どしたの? ナミさん。随分今日はせっかち」
まるで口づけるようにナミの耳元に唇を寄せると、サンジは切なげな溜息と共に囁く。
だって、とナミはサンジの手首を掴むと、自らの中心へ男の手を導いた。
「こっちはもうとっくに、準備できてるんだもの」
ナミに導かれるまま、サンジは柔らかな亀裂を包む下着を、指の腹でなぞり上げた。
「ホントだ」
下着越しでも分かる。確かにそこは既にしっとりとした湿り気を帯びている。
ね、と吐息のような囁きで、ナミはペニスを絶妙な力加減で握り、サンジを締めつけた。
苦笑を浮かべ、サンジはナミの正面に顔を向ける。
「すぐに欲しい?」
サンジの問いに小さく頷く熱っぽいその顔は、眩暈がするほどに悩ましい。
「ダーメ!」
身体があげる抗議の声をねじ伏せて、サンジは否を告げると、ナミを抱き上げ、テーブルを背にするようにしてベンチに座らせた。ナミの足元の床に腰を下ろしたサンジは、ナミの腰に手を伸ばすと、指先で下着の端を引いた。
ナミは背をテーブルに預け、両手をベンチについて身体を浮かせる。
剥ぎ取ったばかりの下着を見、それからナミを見上げ、サンジは下着の湿り気を帯びた部分に軽く口づけた。
「コラ!」
ナミが短く叱りつけると、サンジは悪戯を見咎められた子供のように肩を竦めて笑いながら、目の前の細い足首に手を伸ばす。
まずは右を、そして、次に左の足をベンチに乗せる。
しなやかなナミの身体は、まるで窮屈さを感じさせることなく、サンジの思うままの動きをみせる。
それでも、着衣のままで一方的に秘所を曝け出すことへの羞恥心から足を閉じたナミに、サンジは場違いなほどに優しい笑みを向けた。
「足、開いて――」
滑らかな腿にかけた手に、抗う力を感じる。
「気持ちよくしてあげるから」
金の髪の隙間から覗く誘うような眼差しは、ナミの身体から抵抗する力を奪っていく。
膝を抱えるようにしていたナミが、ピタリと閉じていた両足をゆっくりと開いていく。
ナミが自らの身体よりも大きく足を広げると、サンジは嬉々としてその合間に身を乗り出した。


ピチ・・・・
生まれた途端、闇に消えゆく微かな水音。
絶えることなく続くその音に、女の切迫した息遣いが重なる。
目に見えぬ糸に引かれたかのように、ナミはビクリと両の脚を強張らせた。
「あ・・・・あぁっ、あ・・・またっ!」
ヴァギナに浅く入り込んだ指を、濡れた壁とぬるぬるとした愛液が包む。波のように寄せては引く襞の動きがその間隔を狭めていくのを感じとると、サンジは指の動きを緩慢にした。
「くっ!・・・・う、ふぅぅぅっ!!」
幾度目かの絶頂に達したナミの身体から緊張が抜けるのを待ち、サンジは再び、ナミのヴァギナの愛液を掻き出しながら、痛ましいほどに充血したクリトリスを舐め始めた。
「もう、や・・・ぁ! ・・・ね、ぇ」
潤んだ瞳がサンジを見下ろす。
「な・・・か・・・・中が苦しい、の」
そう言って下腹部に押し当てた手は、まるで体内の疼きを抑えようとしているようにも見える。
「まだダメ」
「なんで・・・っ、あぁっ!?」
クリトリスを強く吸い上げ、サンジはナミの抗議の声を掻き消す。
「溜め込んだモン、全部出しちまうまでは、ね」
サンジが挿し込んだ指をぐるりとめぐらせれば、ナミの身体はくちゃりと粘る淫猥な水音を奏でる。
「全部・・・って、これ以上、出るものなんてないわよ・・・・何も」
「そう?」
サンジは身を起こすと、手のひらを上にして中指を根元までナミの中に突き入れる。残りの指を尻に添えると、その手を思い切り持ち上げた。
「あぁぁっっ!!」
今まで与えられてきた穏かな快感とは全く異なる、強引に引きずり出されるような強い刺激に、ナミは堪らず大きく喘いだ。
尻を浮かせるほどの勢いで、サンジはナミの中を掻き回す。
先刻までとは比較にならない程の、大きな水音がナミの体内で響き始めた。
「あぁ・・・・それ・・・凄い・・・・・凄い、気持ちイイ・・・・」
敏感な天井を、何度も強く擦りつけられ、ナミは震える声で快感を口にする。
グチュ、グチュ、グチュ、グチュ・・・・
サンジの手が浮き上がるたびに響く水音は、ナミの体内に大量の水が溢れ続けていることを証明した。
「ナミさんの嘘つき。こんなヤらしい音させてるくせに」
からかうようなサンジの声も届かない様子で、ナミはうわ言のように喘ぎ続ける。
「凄い・・・・凄いの・・・」
吐く息も、押し止められない嬌声も全てが震えている。自らの身体がたてる水音が、ナミの耳を犯し、それが新たな水を体内に生み出していく。
快楽に溺れている間に、知らず増えていく水かさ。
それが危険な水位をとうに越していたことにナミは気づかなかった。
ゾクリ、と身体の奥深くから、唐突にせり上がってきた強い快感。それは悪寒にも良く似ていた。何かがほとばしり出てしまいそうな予感に、ナミは慄いた。
ナミは息を殺し、秘所に力を込める。そうしないと身体の中で暴れる水が飛び出してしまいそうだった。
「待って! サ・・ンジ君・・・・止め、て!」
それでもサンジは手の動きを止めない。
辛うじて堰き止めているナミの理性を壊そうとでもするように、サンジの指は容赦なくどろどろに溶けた襞の一点を攻め続ける。
「いやっ!・・・・もう・・・ダメェ・・・・出るっ・・・・出ちゃう、のぉ!」
嫌々をするように細かく頭を振るナミの頬に、サンジは手を伸ばす。
「いいから・・・・全部出して」
広い手のひらに強く頬を押し当て、ナミはぎゅっと目を瞑る。ひくり、と強張った身体が、次の瞬間、断続的に痙攣した。
「あ・・あぁ・・・・イクっ!! 出ちゃうっ! っっ」
悲鳴のような高い声と共にナミが背を反らすと、透明な飛沫が飛び散り、周囲を濡らした。

息が落ち着くのを待って、サンジはナミの前にぐっしょりと濡れた手を差し出す。
「全部、出した?」
愛液とは違う、さらりとした液体がサンジの指先から滴り落ちている。ナミの座っているベンチも、更には床にまで飛沫の跡が広がっていた。
それを見たナミは、もう、と溜息をついて膝を抱え、額を乗せた。
「どうすんのよ、こんなにあちこちびしゃびしゃにして!」
「大丈夫、大丈夫。すぐ乾くから・・・・・で、乾くの待ってる間にね」
全く悪びれた風のない口調でそう言うと、サンジは立ち上がり身を屈める。
「今度は違うモンで、ナミさんの中、一杯にしてみない?」
サンジはガラリと口調を変えると、ナミの耳元でそう囁く。
「・・・・・いいわよ」
顔を上げたナミは、にこやかに応じると、サンジの首に両手をまわして、ぐいと引き寄せた。
「最後の一滴まで搾り取ってあげる」
密やかに囁くと、サンジの見えないところでナミは、艶かしい笑みをその唇に乗せた。



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