+裏書庫+


  Thread Date: 2003-09-26 (Fri) 
「来いよ....」

男は、無造作にとシャツを脱ぎ捨てるとベッドに横たわった。
人の悪い笑みを浮かべた、その顔だけを女に向け言い放つ。

「今度はてめぇが、来いよ」
昼間、敵のエージェントに狙われたナミを間一髪のところで助けたのがゾロだったのだ。
その礼に酒瓶を携えて訪ねて来たナミへの返答がこれだ。


ナミはゾロを見つめる。
顕わになった上半身。
ひび割れたような腹筋。広くて固い胸。そこにある深く大きな裂け目。
全てがナミの情欲を誘う。

太い首。その上の精悍な顔。そして目―

瞳。
冷酷で、残酷な悪魔の瞳。
獰猛な、兇悪な獣の瞳。


―今、行ったらどうなるかなんて―
ナミはゆっくりと歩み出す。

―分かってる...十分にそんなコトは―
それでも、その身に、骨の髄まで、否恐らくは細胞の一つ一つにまで刻みつけられているであろう快楽の記憶から逃れる術をナミは持たず...

ベッドの傍らまで歩み寄ったナミをゾロは見上げる。

「脱げよ...全部だ...」
ふらふらとナミは、その手を動かす。
悪魔の瞳に魅入られ、操られてでもいるように。

上着を脱ぎ、スカートを落とす。
後ろに廻した手がブラのホックを外す。
抑えつけられていた、豊かな果実が解放された反動で自然とブラを落下させる。

ショーツに手をかけ、躊躇うナミはゾロの顔を伺う。

ゾロは薄嘲いを張りつけたままの表情で、ついと顔を動かす。
続きを促しているのだ。

身を屈め、腰から布を取りさる。
足首を曲げ、身に纏う全てを。

纏う物を一切持たない素肌に、ゾロの視線が容赦なく突き刺さる。
それだけでナミの躰の中心に軽い痛痒感が走る。
ゾロを欲して、蠢いているのがナミ自身が分かっている。


ナミがゾロの固い腹の上に跨ろうとした瞬間。

「ソコじゃねぇよ」
そう呟くと、ゾロはナミの腰を掴んで自らの眼前に引き寄せる。
男の腕力の前になす術もないナミは、呆気なくその秘唇をゾロの前に晒すこととなる。

「やっ....何すっ...」
渾身の力で身を捩るナミだが、その躰は縫い止められてしまったかのようにびくともしない。
もがくナミを見てゾロは楽しげに笑みを浮かべる。
手の内にある獲物を弄ぶ肉食の獣の瞳で。
その視線にナミは縛られ、身動きもできなくなる。

「ヤケに今日は素直だからな、ご褒美をやろうと思ってな」
その笑みとは裏腹に優しい口調も。
言葉と共に吹きかけられる息さえも秘唇に微かな刺激を与える。

ナミの躰は更なる刺激を求めて止まない。


触れて―
なぞって―
舐めて―

直に―そして埋めて欲しい、と躰中をゾロで満たして欲しいと。

そんなナミの期待通りにゾロの手が動き始める。
ナミの淡い茂みの中を掻き分けるように侵入してくる。

焦らすように縁をなぞっていたその指が、突然秘唇を押し開く。

「っやっ....」
反射的にびくりと腰を動かすナミ。

「いや、な訳ねぇだろ。ナミ。こんなになっててよ....」
くっくっと低く笑いながらゾロは指先を滑らす。
秘唇の頂点から。
「あぁっ....」
膨らみかけている突起を強く押しながら、更に下へと。

そして、くちゅりという微かな水音と共に。
「あ..ああぁぁぁぁっ...」
ゾロの太い指が半ばまで埋め込まれると、ナミの口から一際高い声があがる。

「いいんだろ? これが...」
独り言のようにゾロは呟く。
ナミがもはや返答の出来ない状態であることを見透かしているかのように。

浅く突き入れた指で、ぬめる襞をなぞり、回す。
その度にナミの口から漏れる吐息がゾロの髪を熱く撫ぜる。

ゾロは軽く顔を浮かすと、既に濡れて女の香りを放つナミの秘唇に口付ける。

「っうぅんっ...」
敏感な場所に柔らかなる感触を受けて、ナミは身じろぎをする。
ゾロはそんなナミの反応を楽しむように深い口付けを与え続ける。
膨らみかけたナミの肉芽を舌先で転がし、吸い上げる。

その間も、膣を掻き回す指は止まらない。
ゾロの舌の動きが激しさを増すにつれ、高まっていくのは喘ぎ声だけではない。
秘所から流れ出る愛液。
夥しいその量は淫らな旋律で部屋を満たし、ゾロの指をしとどに濡らす。

「あっ....ゾ、ロっ、ゾロっ..もうっ..」
切羽詰ったようなナミの声とゾロの指を締めつける襞の痙攣が、絶頂を向かえようとしている
ことを知らせる。

と、ゾロは秘唇から顔を離し、指を抜きさる。

「っあぅ...」
もどかしげなナミの抗議の声は次の瞬間、歓喜の声に変わる。

「ぅあぁぁぁぁぁぁぁんっっっ...」
今度はゾロの舌が亀裂へと挿し込まれていた。
指よりも熱く内部を焼き、指よりもしなやかなその動きにナミは急激に昇りつめた。



糸をなくした傀儡のように、力なく自分の上に覆い被さるナミの躰を支えながらゾロは身を起こす。
かくりと俯くナミの頤に軽く指をかけ、顔を上げさせる。
半ば焦点の合わない瞳がゾロを見つめる。
それでも、ゾロの唇が近づくとナミはその目を伏せる。

先程まで自分の秘唇を這い回っていた唇が触れる。
先程まで自分の肉芽を舐めなぞった舌が侵入してくる。

「...んっ...ふ...」
陶然とゾロの舌を受け入れようとするナミ。


―・・・・・・!!―
その表情が一変する。
口の中に入ってきたのはゾロの舌だけではない。

ぬるりとした液体。
唾液とは明らかに違うソレは。

自らの体液。

驚いて唇を離そうとするナミをゾロは逃がさない。
ナミの細い首に手を回し、より深く口付ける。


長い、長い口付け。
それはナミの喉が小さな音を立てるまで続いた。
嚥下したのを確認すると、ようやくゾロは唇を離す。

唇が離れ、絡み合う舌がとけ、それでも2人を繋いだものは。
細い細い銀の糸。


ナミの体液とゾロの唾液の残滓であるソレを、ゾロは自分の指で絡めとる。
糸はそれでも切れることなく、ナミとゾロの指を結びつける。

肩で息をしながら、呆然と自分を見つめるナミにゾロは言う。

「コイツの所為かも知れねぇな....」
糸のついたままの掌を自分の目の前にかざす。

「俺がてめぇから離れられねぇ訳さ.....」
苦笑しながら、少し忌々しげな口調で。

「いつまでも絡まって取れねぇんだよ、この糸がよ」
その言葉にナミは、一瞬驚いた顔を見せた後、心底嬉しそうに微笑む。
そして未だ火照りの治まらない躰を広い胸に預け、ゾロ自身を解き放つ。


ふつり、と切れる糸。
代わりに。
熱い楔で繋がる2人。
同時に漏れる濡れた吐息。
しかし、動き出したのはナミが先だった。

ゾロの頭をかき抱いて、一心に腰を打ち付ける。

「っつ...く..すげ...何なん、だよっ..」
ゾロは絶え絶えに言葉を押し出す。
先程とは逆に、与えられる快感を必死で堪えているのだろう。
切なげな、というよりは苦しげな表情をたたえる顔。その額に汗が滲み出ている。

ナミは一層深く腰を押しつけ、一旦動きを止める。

「あぁぁっっ....ん..私にも、巻き付いてんのよ..」
それだけ言うと、ナミは再び律動を始める。

―あんたの視線1つで―
獣の瞳でも、悪魔の瞳でも、構わない。
いつでも、真っ直ぐに自分の躰を心を射抜く、熱を帯びた瞳をナミは見つめる。

―私は乱されてしまうんだから―
きつく捕らえて離そうとしない逞しい両の腕に抱かれてナミは踊るように跳ねる。
自らの両手もゾロの首にかけながら、溶けてしまいそうな頭で思う。

―こんなにタチの悪い糸なんて他にないわ―



互いに操り、操られる糸。
先に絡めたのは。
先に絡めとられたのは果たしてどちらなのか。

分からないまま2人の夜は更けゆく。


縺れた糸のようにその躰を重ね合わせながら...



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