■ share the bottle,shara my heart(下) | Date: 2003-09-26 (Fri) |
身体をまさぐる手の動きには容赦が無い。
身体ごと持って行かれそうになり、ナミはゾロの胸に手をついて自分の身を支えた。
脇腹から背へ、そして肩へと手は伸びる。
今ある温みを確かめるようにゾロは両の手のひらをナミの肌の上に走らせる。
「・・・・・・んっ・・・・ふ・・」
久方ぶりの情事の予感に気が昂ぶっていたのかもしれない。
いつもなら何でもないような場所にも身体が反応してしまう。
目の前でゾロの太い二の腕が動く度、白いシャツの上でナミの手は大きくわななく。
漏れ聞こえる吐息は既に湿り気を帯びていた。
濡れた声に誘われるようにゾロはナミの唇に自らのそれを合わせる。
腕の動きはそのままで、唇の動きは尚苛烈だ。
そこには先程までのような余裕は最早ない。
自らの欲望にただただ忠実な奪うだけの口づけ。
捩じ込むように強引に侵入した舌は、ナミの反応を無視し蹂躪を続ける。
舌を擦りあげられる度、柔らかな膜をなぞられる度に。
くちゃ...ぴちゃ...
刺激を受けた口腔は自然と大量の唾液を分泌しだす。
自らの身の内に湧いた淫猥な音。
決して大きくはないその音は、いとも容易くナミを狂わせた。
理性はぼやけ遠のく。
この身体に残されているのは本能だけ、そう思うことすらもはや困難だった。
誘い水は既に十分過ぎる程注がれ、後は溢れるのを待つのみだ。
抜き挿しを繰り返すゾロの舌。
それを逃さぬよう、ナミは口を窄める。
その口に再びゾロは舌を突き入れる。
ナミの口元では溢れた唾液が絶えることなく細い糸を紡ぐ。
荒々しく動くゾロの舌を幾度となく受け入れているうちに妙な錯覚をナミは覚える。
まるで下半身を犯されているようだ、と。
そう自覚した途端、感覚はよりリアルになっていく。
硬く、熱を帯びたゾロの舌。
とめどなく流れる体液。
触れられても、脱がされてすらいないのに。
貫かれ、激しく内を掻き乱されている快感。
かぁと身体が熱くなった瞬間。
とろり
ナミは身体の中心から熱い塊が落ちていくのをはっきりと感じた。
「・・・・・・っつ、ん、うぅん...」
その瞬間、ナミはビクリと体を震わせる。
それでも自分の中から出ようとしないゾロの舌を、何度も首を振って追い出す。
薄闇に舞い広がる柔らかなオレンジの髪。
一旦体を離したゾロは息一つ乱してはいない。
ゴクリと喉を鳴らし、平然と二人分の唾液を飲み込む。
対するナミは、乱れた髪を頬に張り付かせながら何とか呼吸を整えようとしている。
「・・・・ちょっ、待って....ゾロ...キツい―」
息も絶え絶えに抗議するナミの腰を両手で支え、ゾロは目を細める。
「何言ってやがる、よがってやがったくせに」
「―――え?」
軽く口の端を歪め、ゾロは続ける。
「てめぇから腰使ってたぜ、今」
「―――! うそっっ!!」
きっと自分を見上げるナミの眼差しはもうすっかり以前のものと変わりない。
閉じられた瞼、定まらない視線ばかりを病床に見てきたゾロにとっては何より喜ばしかった。
それ以上に、気丈なその瞳の奥に揺らめく女の炎にすっかり参ってしまっていたのだが。
「うそじゃねぇよ」
細腰を支えている両腕に力を込める。
ふわりと浮き上がるナミの体。
翻るスカートの裾から立ち上るのは女の香。
そのまま押し倒してしまいたい欲求を押し止め、ゾロは隠された場所に手を伸ばす。
どこよりも柔らかな肉を覆う薄い布。
ゾロは、つと人差指で布の表面をなぞる。
ナミの体の震えがダイレクトに指先に伝わってくる。
それに加えて、じっとりと湿った感触も。
「もう、しみてきてるぜ」
「・・・・っつ!!」
揶揄するようなゾロの口調に返す言葉をナミは持たなかった。
ゾロは秘所をなぞる指先にじわじわと力を込める。
その度に頭上より悩ましげな吐息が漏れ、滲み出る液体は益々女の匂いを際立たせる。
「もっと濡らしてやろうか?」
返事を待たず、ゾロの頭がナミの視界から消える。
次の瞬間、指よりも滑らかで熱い刺激を秘所に受け、ナミは思わず喉を震わせた。
「――っ! や、だめぇっ!!」
不恰好に膨れ上がったスカート。
その中でゾロの頭が忙しなく動く。
唾液をまぶした舌を布の上からあてがう。
そうしてからゾロは、秘所の先端から終わりまでをじっくりと味わった。
「・・あ、あぁ・・・・っふ、・・・・ん、あぁ...」
ナミの喉からは密やかな嬌声が止むことはなく、秘所から染み出す愛液も止むことはない。
濡れて肌に張りつく布は、次第に秘所の形を露わにしていく。
淫らな二つの唇が形作る割れ目も、その上を淡く覆う茂みすらも。
ゾロは、押し当てていた舌の先端を布ごと更に奥へとこじ入れる。
見当をつけていた通り、舌は女の肉にとり込まれていく。
愛液の湧き出口に。
「やっ、...」
拒絶の言葉は続かなかった。
ざらつく布ごしの柔らかな愛撫にナミは逆らうことはできなかった。
布を限界まで押しつけてみても、ヴァギナの口をなぞるのが精一杯である。
焦れたナミは自ら腰をくねらせ、快感を奥まで引き込もうとしている。
その様を見たゾロはニヤリと笑い、伸ばした舌を戻すと、今度は唇を布に押し当てる。
じゅう!
大きな音をたててゾロは布に染み込んだ液体を吸い上げる。
女の液も自らの唾液もいっしょくたに。
「あ、あぁぁん!」
自らあげた高い声に、ナミはギクリと身を強張らせる。
ゆっくりと視線を下に落とすと、秘所から顔を離したゾロと視線が合う。
ゾロはニヤニヤと目だけで笑いながら濡れた口元を拭っている。
「あんまりでけぇ声出すとビビが目ぇ覚ますぜ」
「・・・・・・・あんたってホントに性悪」
意地の悪い口調のゾロをナミは睨みつける。
快楽に潤んだ瞳では効果は微々たるものだったが。
言ったろ―とゾロはナミの瞳を射る。
「待たされたって、こんぐらいの仕返しなら可愛いもんさ」
しれっとそう言いながらゾロはナミの下着の端に手をかける。
脱げよと瞳で促されるままにナミは片足を浮かせる。
力任せに引き下ろされた下着は用をなくし、ナミの足首に絡まったまま沈黙した。
その傍らに先程お裾分けをもらったボトルが立っている。
「それにな―」
ゾロはボトルを掴むと手の届く限りの一番遠くにボトルを置く。
「さっき随分と中途半端に飲まされたおかげで喉が乾いて仕方ねぇんだよ」
言葉が終わる直にゾロはナミの腰を引き、スカートを捲りあげる。
眼前には遮るもの一つないナミ自身の姿。
そこにゾロは深く唇を落とした。
「――――――――――!!」
ナミが大きく息を飲む音が聞こえた。
ナミの中の襞を一枚一枚めくり上げるようにゾロは舌を送り込む。
ゆっくりじっくりと奥に。
襞が舌に絡みついてくる感覚も、酸味を増した女の味も、益々ゾロを昂ぶらせる。
可能な限りゾロは舌を伸ばし、ナミの奥を掻き回す。
「・・・・ん、ふ...」
快感に濡れた声を押しとどめることはナミにはもはやできず、さりとて大仰に喘ぐ訳にもいかず、ゾロの頭を抱えながら、苦しみに似た吐息を鼻から溢している。
その仕種もその声もまたゾロを煽る。
ゾロは深い穴から舌を引き出し、愛液にまみれさせたままそれを上へと運ぶ。
僅かな凹凸をへて辿りついたのは、既に大きさを増している最も敏感な突起。
ゾロは二本の指で柔らかな扉を押し開き、突起を露出させる。
充血し、ピンクというより朱に染まったその核にゾロは自らの舌を擦り付ける。
「・・きゃあぁぁっっ....」
悲鳴と共にナミはゾロの頭に爪を立てる。
その痛みすらもゾロには甘く感じられた。
平たくした舌で突起の全体を舐め回す。
或いは窄めた舌先で核たる箇所だけを刺激する。
そんな風にゾロは、舌に残る愛液を全て拭うかのように執拗に突起を嬲る。
「・・・あ...あぁん...あぅっ!」
ゾロの舌が触れる度にびくりびくりと身を弾ませるナミ。
その茂みの奥からは愛液がもはや滴となって流れ落ちている。
ぽた....ぽた...ぽた..
ゾロのズボンを濡らす音の間隔は徐々に狭まっていく。
ゾロはナミの作った染みに目をやり、それから舌を離す。
熱が引いた、ナミが体から力を抜いた次の瞬間―
滴の落下音が消え、代わりにじゅるじゅると液体を啜り上げる音が響き渡る。
「・・・・・あぁぁぁぁぁっっ!!」
思わず後ろに退いたナミの腰をゾロは逃さない。
涌き出る愛液を全て搾り取ろうかとするようにゾロはヴァギナに口を寄せ、吸い続ける。
ゾロの口の中に引き込まれた液体は次々と嚥下され、それでもまだ溢れ続けている。
それは、果てを知らない今の自分の欲望を証明しているようなものだ。
ナミはかぁと体を熱くさせたが、この快楽を手放すことはできそうになかった。
むしろ、体液を引きずり出されたその中をいっぱいに埋めて欲しいという望みが生まれる。
ナミは両手で挟み込んでいたゾロの頭を起こす。
口元を濡らしたまま、ゾロは不満げな顔でナミを見つめる。
「・・・・ね、も...ダメ―」
見下ろす瞳は今にも涙が落ちてきそうなほど潤んでいる。
「....もう、我慢できな―」
ゾロはみなまで言わせなかった。
ゾロもまた長い間いきり立つ自身を持て余していたのだ。
手早く上着を脱ぎ、ズボンを弛める。
勢いよく天井を向くゾロ自身を目にした途端、ナミの下腹がじんと疼く。
その視線に気づいたのかゾロはナミを見上げ笑った。
「欲しいのかよ?」
「欲しいわよ」
負けじとナミは笑い返す。
「あんただって限界なんでしょう?」
「まぁな―」
苦笑しながらゾロはナミの手を取る。
ゆっくりと降りていくナミの体。
ゾロの先端がヴァギナに触れる。
満たされていく快楽に震えながら、ナミは腰を落としていった。
「あぁぁっ、くぅ....」
「く、そっ....」
久々に味わう締め付けはやはり強烈でゾロは眉間に皺を寄せ、快感を噛み殺した。
「久しぶりだとやっぱりクルな」
大きく息を吐いてゾロは呟く。
ナミもまたゾロの胸に持たれて息を整えている。
その肩をゾロは掴んで起こす。
「体、きつくねぇか?」
心配げな瞳に向かい、ナミは一瞬深刻な表情を浮かべる。
「・・・・・・・キツイ―」
ゾロの表情が変わる前にナミは悪戯な眼差しを向ける。
「・・・・・・イっちゃいそう―」
唖然とするゾロを前にナミは大輪の花を思わせる見事な笑みを披露する。
「てめぇ!」
からかわれたと知ったゾロは口惜しげな顔で一度激しく腰を突き上げる。
「やぁ・・・・ん...」
反らせた喉は細く高い声を響かせる。
ゾロはそこにも一つ口づける。
「イッたか?」
「・・・・・・・・馬鹿」
くくくと低く笑いながらゾロは下着ごとナミのシャツを引上げる。
滑らかな乳房のカーブを手のひらでなぞりながらゾロは顔を顰める。
「・・・? どうかした?」
小首を傾げるナミに、ゾロは心底残念そうな口調で呟く。
「・・・・・・・・やっぱり痩せたな、お前」
「・・・・・・・・・・それってそこで判断する台詞じゃないと思うわよ、私」
あさっての方向を向いて誤魔化そうとするゾロ。
ナミはくすくすと笑いながらその肩に両手をつき、腰を僅かに浮かせ、落とす。
「・・・く、ん..」
鼻にかかる甘い声と、柔らかくも確実に自身を飲み込み締めてくるナミの内部に、ゾロは思わず唸り声を漏らす。
ナミの動きはゆったりとしている。
引き抜かれる感覚に背を反らせ、押し広げられる感覚に喘ぐ。
ゾロはされるがままにナミが乱れゆく様を眺めていた。
ゾロは全くといっていい程動かない。
病みあがりのナミの体に負担をかけたくないとゾロは思っていた。
自分が動き出したら―
一旦のめり込んだ後の自分にブレーキをかける自信は、今日のゾロにはなかった。
それに正直、この状況は悪くない。
今にも零れ落ちそうな光を湛える瞳。
開いたままの唇。
途切れることない荒い呼吸。
そこに混ざる喘ぎ声。
体内にゾロを感じながらナミは一心に抜き挿しを繰り返している。
その動きに合わせ、痩せたとはいえ十分過ぎる程の張りのある二つの乳房が揺れている。
そして―
てらてらと光るゾロ自身が淡い茂みの元、現れてはナミの中に消える。
ゾロはそこへ手を伸ばす。
繋がった場所より僅かに上。
愛液と唾液にまみれた女の核へ。
ゾロ自身にも負けぬほどに濡れた核の表面は滑らかで、ゾロの指は何の抵抗もなくその上を動き回る。
そこに触れた瞬間、ナミは喉の奥を引き攣らせ、ヴァギナは一段と締めつける強さを増し、ゾロを閉口させた。
それでもゾロは指の動きを止めない。
「・・・や、やぁっ....」
ぐにぐにと刺激を与えられる度、ナミの口からは拒否の言葉が発せられるが、その腰の動きは止むことなく、むしろ速まっている。
ゾロの介入はナミのペースを乱し、それによりナミの感覚は追い立てられるように高みへと向かう。
「・・・・っ、ダメ手をっ!!」
ナミの懇願を無視し、ゾロは爪先で核を震わせる。
痛い程の締めつけにゾロの息も自然荒くなる。
「や、やだっ...まだ私イキたくないっっ」
激しく頭を振りながら肩にしがみつくナミにゾロは言い放つ。
「・・・いいからイけよ、じゃなきゃ俺も辛ぇ」
ゾロの熱い息を額に感じながらナミは大きく体を開いた。
身の内に燻る余韻にナミはぐったりとゾロの胸にもたれかかっていたが、やがてもそもそと動き始める。
辺りを見回すが、身を拭くようなものは見当たらない。
ナミは自分の足首に目をやると、しぶしぶ下着を外し、それで情事の残滓を拭った。
「・・・・何かゾロ臭い・・・この部屋」
眉根を寄せてナミはボソリと呟く。
「何言ってやがる。てめぇのだって混ざってるじゃねえか」
反論しながら床からシャツを拾い上げようとするゾロの腕をナミは掴んだ。
「・・・・・・・・ねぇ、もう行っちゃうの?」
寂しげに小首を傾げるナミの頭にゾロはその手のひらをあてる。
「あいつらには何も言わないで来たからな―」
「じゃあ、もうちょっとだけ付き合ってよ、せめて汗がひくまで」
すいとゾロの手から頭を離すと、ナミはそっと扉を開け、音もなく女部屋へと姿を消す。
程なくナミは両手にシーツを抱えて戻る。
ナミの腕からシーツが離れ、ゾロを頭からふわりと覆う。
ナミはゾロの足の間に腰を下ろし、シーツの端を前で合わせる。
ナミは静かに目を閉じる。
ゾロの鼓動が聞こえる。
この男を生かす音。
その音を耳にしながら、ナミはゾロの手を取り自分の胸元にあてる。
ゾロにも伝わるだろうか。
自分を生かす音。
現し世にてまだこの男と共にあることを許された証。
シーツを、そして鼓動をも分け合いながら時はゆったりと流れた。
それから迂闊にも深い眠りに落ちた二人。
痛む頭を抱えながら起きてきたビビが扉を開けた瞬間、二日酔いも吹っ飛ぶような光景を目にしたのは翌早朝の出来事。
終