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  sabado(下) Date: 2003-09-26 (Fri) 
ゾロの手のひらは尻を撫で上げるように、スカートを捲りあげた。
ナミの下半身を覆うのは今や濡れた薄い布一枚。

ゾロは両手をナミの両脚に戻し、更に引上げる。
一段と高くなった腰の位置は、丁度ゾロの顔のあたりで。

左の脚に絡められたゾロの腕に力が込められる。
ぐいと引かれ、ナミの脚は更に開く。
その合間にゾロは捩じ込むように顔を寄せた。

熱い息を感じたのと同時だった。
ゾロの指は、濡れた、丁度股のあたりの下着を引き剥がす。

柔らかな肉と、そこを隠す淡い恥毛が半ば顕わとなり、ゾロの熱い息に嬲られざわめく。
ゾロの息は益々熱く、近く。

「――――!!」
その意図を悟ったナミが脚を閉じようとした時には既に遅かった。

「―――っ、イヤ、ゾロっ、ダメ、汚れて―」
一日歩き回ったまま拭いてもいない身体の、そんな所を。
ナミは恥ずかしさに気が遠くなりそうだった。

思うようには動かない身体。
唯一自由に動かせる頭を、ナミは駄々をこねる子供のように大きく左右に振る。

ばさりばさり、大きく揺れる髪の隙間からゾロの顔が見える。
視線。
乱れ髪のまま、ナミはまた顔を背ける。

「まだんなこと言ってんのかよ・・・・」
ゾロは低く短く喉を鳴らし―

「ダメ、ダメダメっ....っ、や..ぁ...あぁぁっ」
熱く、濡れた、舌が下着と肉の合間に滑り込んできた。

下着を引上げてできた細い隙間にゾロは顔を突っ込んでいる。
汚れを気にするナミの心配は杞憂に終わった。
顔を寄せれば、漂ってくるのはいつもナミが放つ夜の香りだけ。
下着を掴んだ手を動かせば、にちゃにちゃと卑猥な音と共に粘る糸が幾つも見える。

ゾロはその糸を断ち切るように舌を伸ばした。
「きゃっ、ふ....」
表面を掠める舌の感触にナミは小さな悲鳴をあげる。

濡れて光る秘唇を舌先で掻き出すように下着の外に追いやる。
現れた薄い襞をなぞり、舌を蜜の源へと潜らせる。

ぴちゃ...ぴちゃり..
ゾロの舌は膣口を何度も舐めあげる。
すぐ上にある下着の所為で思うようには舌を動かせないのか、そのリズムは一定ではない。それが逆にナミの感度を鋭くさせる。

「ひっ....、うぅっ!!」
電撃のような快感をやり過ごし、力を抜いた次の瞬間にも容赦なくゾロの舌はナミを犯す。
その度にナミの口からくもぐった悲鳴があがる。

ぴちゃん....ぴとん....
滴る水音は、自分の体液なのか鳥の血液なのか。
ナミの瞳に映る赤い血は、何故か酷くぼやけて見え―

快楽に飲み込まれていく。
正気を保つことなどもはや――――


ちゅ...ぺちゃ...

数えきれない程、舌を往復させているゾロ。
ナミの下着は唾液と愛液にまみれ、じっとりと濡れている。
与えられる刺激は回数こそ多いが、浅いものだった。
下着との隙間から舌を伸ばしている為、深くは挿し込めないのだ。

掠れ声で喘ぎながら、ナミは頭の奥が焦れて痺れるのを感じていた。

もっと奥深くまで突き入れて欲しい―
そんな浅ましい欲望を押さえることができない。

下腹部には爆ぜることの許されない熱が溜まっていく一方だ。
もし、この手が自由になるのなら―
そう思えど、括られた手は自由になることはない。

「・・・・・ゾロ、お願い・・・・もっと――」
「・・・・・もっと・・・何だ?」

言えよ、とゾロは詰るように言う。
その言葉に、カッと熱くなるのは頬だけではない。

じゃなけれゃ代りに―とゾロは言葉を続ける。

「こっちを見ろよ」
静かだが強い口調。

その目を見てはいけない。
その目は―


「やっと見たな―」
そう言った瞳は笑っていた。
あの悪魔のような笑みがそこにはあった。



片足を肩から外し、スカートをそして下着もを一気に引き下ろす。
地面すれすれまで下ろされたナミの腰は、だが再び持ち上げられた。
高く担ぎ直された脚。
直後、その膝はガクリと折れ曲がり、踵はゾロの背を強く叩いた。

それすらも意に介さず、ゾロはナミを見つめている。
濡れた香を放つ秘所の向こうにナミの顔が見える。

少し困ったような、泣き出しそうなその顔を見つめていると、もっとぐしゃぐしゃに乱してやりたい、そんな欲求に駆られる。

だから、そこをきつく吸い上げた。
ナミから目をそらさずに。等しく濡れた瞳を見つめたまま。

「――っ!! あっく、ぅぅぅぅぅぅ.....ん」
一瞬大きく開いた口はすぐに結ばれ、後にはくもぐった喘ぎ声だけが残る。
思わず俯いたナミに、ゾロは目を眇める。

「誰に遠慮してやがる―」
声を殺す癖。
それは狭い船内で繰り返される秘め事の中、自然と身についてしまった習性。

ゾロはゆっくり片手を伸ばす。
その手のひらはナミの首元で止まった。
容易く縊り切れそうな華奢な首。

「・・・・・・ん・・・・・ふぅ...」
ほんの少し力を入れると、ナミは細く息を漏らした。

ゾロの目の前、益々近くにナミの花唇がある。
その花弁はゾロの言葉に確かに震えた。

「声出せよ、好きなだけ―」

その直後だった。
「きゃ、あぁぁぁぁぁぁっ!!」
悲鳴にも似た、が悲鳴にしては甘過ぎる声がゾロの手のひらを震わせた。

ゾロはナミの花唇の奥に舌を突き入れている。
熱さを感じる程の襞の合間に舌を泳がせれば、ぐちゅぐちゅと液が溢れ、ゾロの口元を伝う。さっきあれほど吸い上げたにも関らず、だ。


溢れた液が零れたのはゾロの方だけではない。
殆ど吊り下げられたような格好の、淡い茂みから落ちる筋がナミの下腹を濡らした。

「あぁっ、ゾロっ、あぁ...んぅ、イイ、あぁぁ・・・」
あちこちに反響するその声は、まるで他人のもののように聞こえる。
それが自分を煽り続けていることも分かっていた。
それでも、声をあげればあげる程身体が開いていくような気がする。

実際、ゾロの舌の動きに合わせてナミは腰を揺らめかせている。
更に奥まで飲み込もうと大きく開いた脚はゾロの肩からずり落ちそうになっている。

「・・・・いい声あげるじゃねぇか」
ゾロは濡れた唇で笑いながら、ナミの喉から手を離し身体の真中を滑らせる。
豊かな胸の合間を。
窪んだ臍を越えて、下腹部の水跡を遡り、茂みに分け入る。

「―――― !!!」
濡れた指先が半ば剥き出た核を掠めると、ナミの身体は大きく引き攣った。
跳ねる腰を押さえ、ゾロは指を二本まとめて秘唇に捩じ挿れる。

「あ、はっあぁぁっ」
柔らかな肉がずぶずぶと、節くれだったゾロの指を飲み込んでいく。

しなやかに蠢く筒の中でゾロはやや指を曲げ、指の腹を擦りつけ、その天井を刺激する。
二本の指を交互に動かしながら、舌先を剥き身の核にあてがう。

「あぁっ、あ、あ、あぁぁっ!!」
突き入れられる度、掻き回される度に喉が引き攣る。
ゾロの舌は赤い炎のようにチロチロと動き、核の周りを舐る。
その動き全てがナミの目に写っている。
自身が舐めとられていく様を目の当たりにし、いやがおうにもナミの興奮は増していく。

絶頂は突如訪れた。
プツリと糸が切れるように。
スイッチが切り替わるように。

「や、あ・・・イクっ、ゾロ、も、イっちゃいそう、あぁぁ・・」
快感が弾け、許容量を越えようとしていた。
ひくひくと上下にぶれる核を唇で挟み、ゾロは止めを刺そうとしていた。
唇を窄め、核全体を口の中に取り込む。
じゅう、と音がした途端。

「んぁぁっ、ダメ、イクぅぅぅぅぅっ・・・」
張り裂けんばかりの声と共にナミの脚が真っ直ぐに伸び、一瞬の間の後、弛緩した。
力を失ったナミの脚はゾロの肩から滑り落ちる。
砂利はその脚にも薄い傷を負わせたが、ナミはもはや気にもとめなかった。

耳にまだ己の嬌声が残っている。
理性をかなぐり棄てた後に残るのは、ただ快楽だけを求める浅ましい身体。
あぁ、とナミは思う。
この男を悪魔か獣だと言うならば、抱き合う自分もまた同じものなのだろう。

獣なら獣らしく―
ナミは、まだ痺れの残る身体を起こす。
ゾロに向かい、縛られたままの両手を地につける。膝をつき、背を丸める。

獣の姿勢で、ゾロを見上げる。
自覚はしていなかったが、ナミは笑みを浮かべていた。

その顔を伏せ、じわりとゾロに近づく。
ゾロのズボンの紐を咥えたその顔を、ナミはゆっくりと引いた。




音もなく垂れた紐のその上、ややゆるくなったズボンの上端をナミは咥える。
四つん這いのまま、口だけでナミはズボンを引き下ろそうとするがなかなか上手くいかない。
乾いた洗いざらしのズボンにナミの唾液が染み、ますます黒を深くする。

原因は分かっている。
こんな布越しにもありありと分かる、熱。

硬く引き締まった両の腿がようやく現れる。
そして、下着の中ではちきれんばかりに膨らんだ熱い塊。

顔を近づければその脈動すら伝わってくるようだ。
ナミは更に顔を寄せ、下着の上に舌を押しあて根元から舐め上げる。

「ふ...ぅ」
上から降る呼気は宙に消える前に、微かにナミの背を震わせた。

ナミはゾロを見上げる。
見つめる。

そのまま瞳だけをゾロに向け、もう一度舌を使う。
ゾロの顔が快楽に歪む。

顰められた眉根。
鋭く狭まる眦。
きつく結ばれた口元が開くその瞬間。
全てがナミの中の欲望をざわめかせる。


もう知ってしまった。知らされてしまった。
身体全体でもって、自分はこの男が欲しいのだ、と。

本当は分かっていた。
戻りたくないと思った自分。
二人だけで飽くまで抱き合いたいと思ったこと。
誰を何を憚ることなく声をあげ、すべてを晒し―
例え僅かな時間でも―

そう、この男をここに誘い込んだのは自分だ―
灯された火は自覚と共に焔となる。

ナミは下着の端を噛む。
そのままゆっくりと顔を下げていく。

そして現れたゾロの頭の部分を食む。
すっぽりと口で包み込むと、くっきりと浮き出たその形を愉しむかのように輪郭を舌で辿る。
大きく広がるかさの部分を撫ぜれば、ゾロは堪えきれない様子で短く荒い息を一つ吐く。

行き場をなくした唾液が口一杯に広まり、ゾロとナミの間を温かく満たす。
ゾロを含んだまま顔を動かせば、ぐちゅぐちゅと大きくなる水音が二人を煽りたてる。

憑かれたようにナミは口と舌だけでゾロを愛する。
限界まで深く吸い込み、開放する。
窄めた舌先に筋張った部分が引っかかり、ゾロはビクリと腰を痙攣させる。

「うっ、く...」
押し殺した低い呻きは、それだけでナミを犯していく。
貫かれるのによく似た感覚に、蜜が太腿へと流れ出していくのをナミは感じた。
ゾロの太い幹を何度も扱きながら、襲い来る痛痒感にナミは密かに股を擦り合わせる。
両手が自由であれば、己の指でそこを掻き回していただろう。


ナミはゾロを見上げる。
その視線を恐れることはなく、その顔には淫蕩な笑みさえ浮かべている。
その瞳には、ゾロだけが映る。
首を失った鳥の姿も流すその血ももう映りはしない。

狂ったように顔を振りつづけるナミ。

もう、恐れるものなどここにはない。
ここより堕ちるところは、もはやない。


「―っ! ナミっ、ダメだっ...も...離っっ!!」
切れ切れに喘ぐゾロは、ギリギリでナミの口から己を引き抜く。
ナミの唇から離れた瞬間、ゾロは限界を迎えた。
白く濁った液体は、満足げに微笑むナミの顎から胸元へと弾け飛ぶ。



か弱き雌鹿はもう、いない。
憐れな生贄は今や美しい魔女へと姿を変えた。

滴る血ではなく、男の精を贄として―




「っは、ぐっ....」
絞り出すような声と共に、ゾロは自らの手で幹を扱き最後の一滴まで精を出し切る。

その仕種をナミは見つめている。
ガクリと膝をつき、やや背を丸めるゾロを、膝立ちになったナミは見下ろしていた。

縛られたままの両手で顎についた滴を拭うと、一瞬いとおしげな瞳を見せ、すぐに伏せる。
目を閉じたまま、ナミは舌でその滴を舐めとる。
ナミは何度も自分の手に舌を這わせる。
その微かな残り香さえも逃さぬように。

それからナミはゾロの元へじわりと膝を進める。
両手を首の後ろに回し、硬い腿をまたぎ、身体を密着させる。
秘所に僅かに触れるのは、精を放ちやや弛緩したゾロの肉茎。
ナミは構わず、そこに腰を押しつける。
興奮で剥き出しになった肉の芽を擦りつけると、一瞬で指先、爪先にまで痺れが走る。

「あぁっ、あぁぁぁぁぁぁー」
仄暗い洞窟に女の嬌声が響き渡る。
ナミはそれを気にもとめず、腰を送る。

「あ、はぁっ...は、あ、あぁっ」
押しつけられた肉芽は、都度ぐにぐにと形を歪め、洞窟には甘い響きが絶えない。

目を閉じ、何度も頭を振り、忘我のうちにナミは己を高めていく。

ゾロが入ってくるのを待ちわびる秘唇は、ひくひくと口を震わせ、涎を滴らせている。
そうして擦りつけらる度に肉茎は愛液にまみれ、ナミの腰の動きと共に濡れた音をたてる。


そんな中、ふと視線を感じ、ナミは目を開く。
ゾロはナミを見上げている。
睨んでいるといってもいい位の強い瞳。忌々しそうに。

ナミは腰を揺らすのをやめ、微笑む。
今が盛りの薔薇のようなその笑みはいっそ毒々しく、触れた途端に花弁は落ちてしまいそうな危うさを含んでいる。

花弁を落とした切り口に滲み流れるのは真赤な血。
まるで落ちた花の代りをするかのように鮮やかに。

そんなイメージがゾロの頭に浮かび、次の瞬間、あぁと思い当たる。
既視感。それは自分が落とした鳥の首だ、と。

落ちた花のその後に残されているのは、血塗られた茨。

例えそうだと分かっていても―


ゾロはナミの腰を持ち上げ、秘唇に己をあてがう。
前以上の硬さでもってゾロの肉茎はナミを貫こうとしている。

つぷ、と音がしてゾロは張りのある頭をナミの中へ潜らせる。
「・・・・あぁっ」
待ちわびた感覚にナミの声が震える。
そこからゾロは、無言のまま一気に秘唇を挿し貫いた。

「や、あぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」

絶叫を契機にナミの中がきつく締まる。
襞の一つ一つが個別に意志を持つかのようにうねうねとゾロを締め上げる。

「―ちっ、くそっ...」

快楽に負けそうだ。
思わず悪態が口をついて出る。
それでもゾロは両手に力を込め、ナミの腰を引き寄せたまま離さない。
自身を完全に埋め込んだまま、そこから腰を突き上げる。

「あぁっ、あ...ん、凄っ、す、ごくイイっ、ゾロっ、ゾロっっ!!」
ガクガクと揺すぶられながらナミは喜悦の涙を流す。

「あぁ...くっ」
すぐにでも破裂しそうな自身を抑えながら、ゾロは応じ、更なる深みへと押し入る。
目の前でナミは踊るように身をくねらせ、何度となくゾロの名を叫ぶ。

「ゾロっ、ゾロっ....こ、んな、奥まで来てる」
「っ、あ...う」

身体が熱い。全身が弾けてしまいそうな感覚にゾロは襲われる。
ナミの両腕がゾロの頭を抱く。
荒く息をつきながらナミはゾロの耳元に唇を寄せる。
掠れた声で小さく、それでも唇は確かにこう告げた。

「もっと、もっとよ―ゾロ」

そこでゾロの記憶は焼き切れた。



「サバト―」
激しい交わりの後に聞こえてきたのは抑揚のないナミの呟き。
ゾロの下、うつ伏せのままでナミは組んだ腕に額をつける。

「・・・何だ?」
聞きなれぬ言葉にゾロは眉を顰める。

「魔の集まる場。邪悪、淫蕩、混沌―」

俯いたままの声は、地面にぶつかり低くこもる。
まるで呪文のようにナミは言葉を紡いだ。
ナミが黙ると、ゾロは悪辣な笑みを浮かべながら喉を鳴らす。

低い振動にぴくりと反応するナミのその背にゾロはゆっくりと自らの身を落とす。
オレンジに隠れる耳元に唇が近づく。

「・・・・だったら―」
また―ナミは瞳を伏せる。
ゾロの声に身体の芯が悦び騒ぐ。

「俺達にゃ似合いの場所だろう? ここは」

ナミは小さく頷くと密やかに笑った。
笑い声はまるで血のように地面へと吸い込まれ、消えた。



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