■ A day of Wine and Orange | Date: 2003-09-26 (Fri) |
*"プレゼントの鍵あげます"続き*
宴の後の気だるい雰囲気が漂うキッチン。
ルフィは、ナイフを握ったままテーブルに突っ伏して眠っている。
サンジは、流しで煙を燻らせながら大量の皿と格闘中。
ゾロは、気絶した、と言ったほうがいい状態のウソップとチョッパーを担いで男部屋に運んでいる最中で不在。
そして、今夜の主役は片手にワインボトル。片手にワイングラス。
「あー、楽しかった、ホントに...」
誰にとはなしに呟いたところで、ゾロが戻ってくる。
「あー、重てぇったらよ、あいつらガツガツ食いやがって..」
文句を言いながらゾロはナミの手からボトルをひったくり、そのまま喉を潤す。
「ちょっと、コレ私の !!」
ナミはゾロからボトルをひったくり返すと自分のグラスを酒で満たす。
てめぇ、とナミを睨むゾロ。
「手間隙かけてお祝いしてやったんだぜ。感謝の気持ちとかねぇのかよ」
その言葉にナミは黙り込む。何事か考えているようだ。
代わりに、大皿との戦いを終結させたサンジが口を挟む。
「おい、クソ剣士っ、今日の主役になんてこと言ってんだ、てめぇっ」
そう言いながら振り向いたサンジが。
サンジの言葉に目をむいたゾロが。
一切の動きを止める。
ナミが上着をばさりと放り投げて立ちあがったのだ。
平然とした表情でワイングラスを傾け、一口口に含む。
こくりと、白い喉を動かした後。
「感謝のキモチ...私じゃたりない?」
ナミはそう言って艶やかに微笑んだ。
宴会から飲み続けているのだから、その酒量はかなりのものの筈。
それでも、ナミの上半身はあくまでも白く、透明なままである。
ナミが片手に持つグラスのワイン。
その赤が白皙の肌をより際立たせている。
「ふ..ふざけるのも大概にしろよ、てめぇっ」
「...飲みすぎですよ、ナミさん」
「ふざけてもいないし、飲みすぎてもないわ」
うろたえる男共を前に、たん、とボトルをテーブルに置いてナミは静かに告げる。
「でも、そう思われるのはしゃくだから...」
身を翻してドアへとナミは向かう。
「時間を貰うわ。今からシャワー浴びてくるから、私がいらなんならココにいないで」
ワイングラスを携えた白い背がキッチンから消える。
閉じられる扉。
消えゆくワインの香り。
・・・・・・・・・・・・
「酔いさますって、あいつグラス持っていきやがったぞ、そう言えば」
呆然とゾロはサンジに話しかける。
「いや、どうでもいいぜ、んなコト。お前どうすんだよ...」
「・・・・てめぇこそ...」
・・・・・・・・・・・・
熱めの湯が、ナミの気分を昂揚させる。
―アノ時のあいつらの顔っていったら―
シャワーの流れに身を任せたまま、ナミはクスクス笑う。
心はもう満ち足りている。
幸せで。温かで幸せな気分で。
だから、今度は躰が欲しい、欲しいとせがんでいるのだろうか。
もっと激しく、熱い愛情を。
それを躰中に刻み付けて欲しい、と。
だとすれば。
―私って、自分で思ってたよりも我侭で贅沢な女なんだな―
鏡の前で既に空になっているグラスを見て、もう一度ナミはクスリと笑った。
・・・・・・・・・・・・
物音1つしないキッチン。
キィという扉の軋みが、その静寂を破る。
灯りがおとされている。床に1つだけ置かれたランプ。
その手前に眠り続ける人影か1つ。
その背後に、床に座り込んでいる人影が2つ浮かぶ。
「誰もいなくなったのかと思ったわ...」
ふふ、と笑うナミ。
ゆらりと立ち上がる人影。
「・・・本気なんだな、てめぇ」
「俺も..俺達も、もう本気ですよ。ナミさん...」
ナミは何も言わずに、サンジに近づくとそのネクタイに手を伸ばす。
片手で結び目をといた瞬間。
後ろからゾロに抱きすくめられる。
ゾロの胸へと引き寄せられるナミ。
僅かな衣擦れの音が起こる。
ナミの手によって引かれたネクタイはサンジの首から外れ、ゾロの体とぶつかったバスタオルは、はらりと床に落ちる。
一糸纏わぬ姿のナミ。
ランプの炎が、真っ白な裸体の上を揺らめき走る。
蛇の舌に舐められているかのようなナミの肢体。
その妖艶さに息を呑んだのは前の男、後ろの男どちらが先だったろう。
「..んぁっ.....」
突然ナミが甘い声を漏らす。その原因は後ろの男。
ゾロはナミの首筋から耳元までを舐め上げ、耳朶を口に含んでいる。
「てめぇ、抜けがけしやがってっ」
憮然とした表情を見せるサンジに、ゾロは人の悪い笑みを向ける。
「馬鹿野郎、こういうのは早いモノ勝ちなんだよ」
それだけ言うと、再びナミの耳に歯をあてる。
挑発的なその言葉に、サンジはまなじりを裂いてゾロを睨みつける。
クソっと小さく呟くと、ナミの乳房に手をかける。
豊かで柔かなその塊を持ち上げるように引き寄せ、先端に口付ける。
「ん....」
触れるだけの口付け。そのほんの僅かな感覚にもナミの躰は敏感な反応をみせる。
サンジの唇に触れる先端がみるみる固く尖っていく。
サンジは髪をかきあげると、目だけを動かしてナミを見上げる。
その目に映るのは自分を見下ろす熱く熟れた女の瞳。
そして、その後ろで蠢くもう一人の男の姿。
先ほどまでナミの耳朶を咥えていたゾロは、まだ執拗にソコを攻めていた。
但し、その武器を舌に変えて。
甘く噛み締めていた耳たぶを解放すると、そこに残されたのは赤黒い小さな窪み。
ゾロは自ら付けた噛み跡に舌を這わせる。
獣が傷を癒すように丹念に窪みをなぞる。
ひちゃ...ひちゃり....
温かく濡れた感触とゾロの口元から湧きあがる微かな濡れ音がナミの耳から性感を高めていく。
「っあぁぁん...」
耳の中に直接舌を挿し入れられ、ナミは今度ははっきりとした嬌声をあげる。
片耳を塞がれている所為か、やけに自分の声が遠く聞こえる。
その代わりに頭に直接響いてくるのは、徐々に大きくなる水音と男の熱い息遣い。
―耳から溶かされそう―
意外な程やわらかなゾロの愛撫に虚ろになっていく意識の中で、そうナミが思った瞬間。
「っっっっ !!」
胸の先端に走った痛みがナミの意識を覚醒させる。
サンジの唇によって膨らまされた先端。
そこを指で摘ままれたのだ。
きりり、とした甘い痛みが背筋を走るが次の瞬間には別の感覚が躰を支配する。
もう片方の胸の先をサンジの口が包み込む。
そのまま舌だけを動かして頂点からその周辺を優しく嬲る。それを繰り返すのだ。
痛みの後に与えられる柔らかな愛撫。
その快感は思いのほか強烈で。
「あぁぁっっっ....すごっ...」
ナミのその声にサンジは目だけで笑う。
その笑みの先にいるのはゾロ。
その瞬間、ナミは腰に回されたゾロの腕に僅かに力が込められたように感じた。
ナミの耳に舌を刺し込んだまま、ゾロは強い視線をサンジに送る。
ナミを挟んだ2人の男の間に、情事にはそぐわない剣呑な雰囲気が漂う。
その空気を破ったのは小さな悲鳴。
「っつ、痛ぁっ...ゾロっ...やぁっ....」
ゾロはナミの耳を咥えてきつく後ろへと引く。
その痛みでナミの意識を自分の方へと向けたのだ。
「言えよ、ナミ....」
そのままナミの耳元でゾロは低く囁く。
その間もサンジの舌はナミの胸の頂きを軽い音をたてつつ吸い続けている。
視線はゾロに固定したまま。
「あぁっ...何、をよ....」
熱に浮かされたようなナミの問いかけに応えたのはサンジ。
「どっちが上手いか...どっちが感じるか、ってコトですよ。ナミさん」
だろう?とサンジは、目でゾロに同意を求める。
サンジの言葉に苦笑しつつゾロは、もう1度ナミの耳元に口を寄せる。
「言えよ...」
その一言だけを残して、細い項に口付ける。
そして、今だ細かな傷を残す肩口へ舌を伸ばす。
その傷跡は極端に外部からの刺激に敏感で。
ざらつく舌の感覚にナミは大きくその身を震わせた。
「っつうぅぅぅぅんっ...分かん、ないわっ..そんなのっ、あぁっ」
ナミの震える躰を抑えつけてサンジは言う。
「ダメですよ、ナミさん。ちゃんと答えてくれなきゃ。
俺としちゃあ、クソ剣士に負けるのだけは我慢できねぇ」
「それぁ俺の台詞だぜ、ナミ、分からねぇなら分かるようになるまで犯すぞ」
張り合う言葉のままに加熱していく愛撫に、ナミの喉が一際高い声をキッチンに響かせる。
その声が消えようとした時。
かたんっ
音の発生源に立ちすくむ人影。
その頭上からゆっくりと麦藁帽子が落ちていく。
―何だ...これ―
目の前には、ゾロとサンジとナミ...裸のナミだ。
そのナミを取り合うかのように、男の腕が白い裸体に絡み付いている。
状況を把握するより前にルフィが思ったこと、それは....
―すげぇ綺麗だ...あのナミ―
それでも、そんなことを思ったのは、ほんの一瞬の間だったのかも知れない。
麦藁が床を滑る音でルフィは我にかえる。
「な..に、してんだ? お前ら...」
見開いたその目には、確かによく知った顔が映っている。
でも、こんな表情は見たことはない。
額に汗を滲ませているゾロも、乱れた髪のまま動き続けているサンジも戦いの時と似た顔をしている。
けれど、戦闘ではもっと冷めた瞳をしている筈だ。
こんな、ぎらぎらとした瞳は見たことがない。
そして2人とも、もう自分を見てはいない。
ルフィはゾロの、サンジの視線の先にいる女の顔を見つめる。
男達の大きな手で、躰の柔らかい箇所をまさぐられる度に甘い声を出しているナミの顔を。
苦しげな表情。
顰められた眉根。
伏せられた瞳。
淡い光に照らされた白い顔の中で、長い睫に酷く目を引かれる。
濡れたような睫が。
―泣いてるのか―
その顔をもっとよく見ようと、ルフィが一歩を踏み出したその時に。
下ろされていた幕が上がるように、睫が動いていく。
ゆっくりと現れるナミの瞳。
濡れたような瞳。否、実際に目の際にはうっすらと涙が溜まっている。
その涙で歪められたランプの灯りがナミの瞳を妖しく彩る。
―こんな目、俺見たことないぞ...ナミ―
気圧されたように、ルフィはそれ以上歩を進められなくなる。
立ち止まるルフィを見てナミの口元が動く。
止むことのない快感を振り払うようにナミは、ぶるりと頭を振る。
「・・・ルフィ...」
常よりかすれていて、それでいて常より艶やかな声でナミは男の呪縛を解く。
「ルフィ、あんたはどうしたい?」
蠱惑的な笑みを見せながら、ナミは囁く。
「出ていくも、見ててもいいわ...もちろん、ココに来てもいのよ」
話している間もゾロとサンジからの愛撫は止むことはない。
「...あぁっ....どう、する?..」
ルフィはまっすぐにナミの元へと歩み寄る。その足取りには迷いはない。
ナミの傍らに立つと、その頬へ掌をあて、その顔を自分の方へ向けさせる。
そのまま、ルフィは躊躇わずにナミに口付ける。
「ん....」
細い吐息と共に、ナミはルフィの唇を受け入れる。
「・・来るとは、思わなかったぜ、あいつ...」
驚いたようにサンジが呟く。
「まぁ、アイツも男だってコトだな、しっかし」
ゾロは苦笑を浮かべる。
「おっかねぇ女だぜ、コイツはほんとによ」
躰を戒める縄のように廻された複数の腕。
唇に、耳朶に、胸元に。
ある者は舌を這わせ、ある者は噛み跡を残し、そしてある者は朱の吸い跡を残す。
「..っんんっ....ダメぇ、もう、立って..られないっ..」
がくがくと膝を振るわせるナミを、ゾロが支える。
そのまま、ナミを床に下ろそうするゾロの足にサンジが軽い蹴りをいれる。
「お前なぁ、レディを地べたに寝かすんじゃねぇよ」
そう言いながらシャツを脱ぐと、近くに落ちていた上着と共に床に広げる。
「こちらにどうぞ、お姫様」
ゾロが上着を脱ごうとした隙をぬってサンジはナミを抱き上げる。
睨むゾロを無視して、3人の上着でできたシーツの上に床に横たえる。
その細い躰を取り巻くように3人の男が群がっている。
「すげぇ柔らかいんだなぁ、ナミって」
掌で胸の感触を楽しみながらルフィは言う。
指の隙間から溢れる乳房に舌を伸ばすと言葉を続ける。
「それに、すげぇ甘い気がする...」
「じゃあ、もっと甘くしてやるぜ」
ニヤリと笑うとゾロはナミの足首を掴んで引き寄せる。
ほの暗い部屋の中で、僅かな光に照らされたナミの花園。
淡い茂みの先に、最も柔らかいであろう肉が息づいている。
ゾロは自らの中指を咥え、たっぷりと唾液をまぶして引き抜く。
そして、そのまま。
びくりとナミの背が床から離れる。
「んあっ...あぁぁぁぁぁぁっっっ...」
その声をも消してしまいそうな程の水音が茂みの奥から湧きたつ。
わざわざ濡らす必要はなかった、と半ば呆れながらゾロは奥へ奥へと指を送り込む。
クチュ...クチュ....
指が動くたびに途切れることなく響く水音が。
谷間から溢れ、滴り落ちる液の甘い香りが。
男達の欲望を更に煽っていく。
「あっ...スゴっ..ダメ、よっ..」
その中でナミは、肘をついて震えるその身を起こそうとする。
「っこれ、じゃ..お礼に、ならないものっ...あぁんっ...」
「十分お礼にはなってるんですがね...」
苦笑しつつサンジはナミの手をとり、その躰を再び床へと沈める。
ゾロの指が出入りしている真上の部分をサンジは指の腹で撫でる。
「きゃあぁっ...」
短い叫びと共にナミの躰が弾ける。
「いいでしょ、ココ...ナミさん、自分でやってみせてよ..」
サンジは掴んだナミの手を下腹部へと導く。
自らの茂みに触れたところで躊躇するナミの指にサンジが指を重ねる。
大きく膨らんだ肉の芽。
ソコにナミの指を押しつけるようにサンジは力を入れる。
「あっ..んんっ...ヤダ、ヤダぁぁぁっ...」
否定する言葉とは裏腹にナミの躰の熱は上がっていく。
サンジは頃合を見てナミの指から自分の指を離す。
そのまま秘所へ顔を近づけると、ナミの指ごと肉芽を舐める。
秘唇を指で貫かれながら。
乳房をその形が歪むほど揉まれ、舐められながら。
自らの指で肉芽を弄るナミの姿は誰の目にもこれ以上はない位に扇情的に映る。
「っく..ふ、あぁぁぁっ..も、う..」
細かく震えるナミの躰。
内部の断続的な収縮がゾロの指だけでなく、サンジの舌にも伝わってくる。
引き攣ったようなナミの声に、ルフィは胸から顔をあげるとナミの耳元に口をつけ、低い声で囁く。
「船長命令だ、ナミ、イケよ...」
「あぁぁっ...」
ナミは浮かされたように震える手をさまよわせ、目の前のテーブルクロスの端を握り締める。
「だ...め..イき、そうっ...あ、あぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
大きく背を反らせた後、ナミの躰から一気に力が抜ける。
クロスが絡みついたままの指がだらりと落ちると、上にのっていた食器達が悲鳴をあげる。
そして、最後に。
カタンッ
小さな音をたてて、ワインボトルが倒れる。
テーブルの上で僅かに転がると、ナミの頭上へと落下し始める。
躰に全く力の入らぬまま開いたナミの瞳に落下してくるボトルが映る。
その動きは酷くゆっくりと、まるでスローモーションのように見えた。
―ぶつかるっ―
思わずナミは目を閉じる。
しかし、予想した衝撃は訪れず、代わりに。
降ってきたのは、血のような赤。
ボトルは、ナミの頭上間近で止められていた。
ルフィの手で。
ゾロの手で。
サンジの手で。
3人の男の手で支えられているボトル。
それでもその口から溢れる液体だけは留めようがなく。
ナミの肩口から胸の谷間を経て流れ落ちていく赤い液体。
柔かな髪の先から落ちる雫。
その色と。
濃密な香りと。
微かに聞こえくる水音に。
誘われるように3人の舌が再びナミの躰を這い回ろうとしている。
ナミの躰から、そのオレンジの髪からワインの香りが消えるまで....
終