+裏書庫+


  be natural Date: 2004-05-11 (Tue) 


嘲りの町を後に、船は東へと進む――


「あれ? ナミは?」
絆創膏だらけの顔でルフィはロビンに尋ねた。

「お姫様なら自分の部屋にいるみたいだけど」
入手したてのジャヤの地図を眺めていたロビンが顔をあげる。
「まだ大分おかんむりみたいよ?」

「そか」
ルフィは平然とした顔で短く応じる。
そのまま、女部屋の方へ歩き出したルフィにロビンは声をかける。
「私は暫く遠慮していた方がいいかしら?」
ロビンの瞳に興味深げな色が浮かぶ。
「・・・・そうだな」
ルフィは振り返り、ニヤリと笑った。


ゴンゴンゴン!
天井扉の脇に座り込んで、ルフィは扉を叩く。
応答はない。

ゴンゴンゴンゴン!
僅かな間の後、下で何やらガタガタと動く音が聞こえる。
胡座に頬杖をついてルフィは待つが、それでも扉は開かない。

もう一度叩こうかと腕を振り上げたところで、勢いよく扉が跳ね上がる。

「うぉっ!?」
仰け反るルフィの目の前には、扉を持ち上げたままのスラリとした腕。
そして、やたらと目つきの悪い航海士その人がいた。

「何よ! 何か用っ!?」
トゲのある口調を隠しもせず、ナミはルフィを睨みつける。
返事も待たず扉を放り出すナミ。
ルフィは慌てて扉を持ち上げると、ナミの後を辿る。
ドカリ、とナミはソファに腰を下ろし、足を組む。
その後をついてルフィが腰掛けたのは、その上。
ナミの横、ソファの背の上に腰掛け壁にもたれている。

何を言うでもなく、ルフィは眼下のオレンジの髪を、そして一定のリズムで上下するナミの爪先を眺めていた。
それからおもむろに手を伸ばし、ナミの頭を撫ぜる。

「・・・・・・・・・・・・・・何よ」

ナミは顔だけをルフィに向ける。爪先の刻むリズムは変わらないままで。
ルフィは僅かに身を屈め、ナミの瞳を覗き込む。

「いや、泣いてるか怒ってるかどっちかだろうな、と思って」
ルフィは笑顔だ。
ナミの爪先は上がりきったところでピタリと止まる。
ルフィの笑みが一瞬で人の悪いそれに変わる。
「どっちもだとは思わなかったけどよ」
弾かれたように顔を伏せるナミ。
「べっ、別に泣いてなんかいないわよっ」
ルフィはニヤニヤしながらナミの頭に手を乗せる。
「目、赤ぇぞ」
「ね、眠くてちょっと擦っちゃったのよ!」
「ふーーーん」
「それに、怒ってなんか――!?」

言葉の途中でルフィはナミの顎に手を伸ばし、くいと上向ける。
さらりとオレンジの髪が流れる。

ルフィは上からナミの瞳を覗き込む。
ルフィの顔から表情が消えていた。黙ったまま、ただじっと見つめる瞳。

止めて―

ナミの心を震わせるのは恐れにも似た思い。
何もかもを見透かす瞳。
心の底に秘めたどんな感情をも揺すぶり起こし、顕わにする瞳。

そんな目を今の私に向けないで―
じゃないと―

・・・・・・・・・・ポツリ。

ナミの瞳から涙が流れた。
ルフィは表情を変えることなく、ソファの背から降りる。
ナミの隣に腰掛け、ナミの身体を自分の方へと向ける。

ルフィは何も言わず、ナミを見つめている。

「・・・・・・・・・うっ、ふ」
堪えきれない嗚咽が零れる。
喉は何かが詰まってしまったかのように重苦しい。
息を吸おうと口を開けば、のどがヒクリと鳴った。

「・・・・く、やしかった・・・・私」
「・・・・・・・ん?」

ナミは腿の上で握った拳に力を込める。
「あんな風に馬鹿にされて・・・」
「そか」
短い相槌だけでルフィはナミを見続ける。
「・・・・・・・・・違うわ。きっとそれだけじゃない」
ナミは小さなしゃっくりを吐きだしてから口を開く。

「私は何て言ってもアンタは動かなかった」
「あぁ」

落ちた滴が握った拳の上を滑り落ちていく。
「それが、悔しくて・・・・・・・・・・悲しかった」
ナミは瞳を伏せる。
叫んでも、怒鳴っても自分の言葉ではルフィを動かせなかった。
自分の言はそれ程無力なのだろうか、と打ちのめされた気分になったのだ。


温かな手のひらが頭に回される。
その手に力強く押され、ナミは目を開ける。
目を射るのは深い深い黒。
きつい瞳のまま、ルフィはゆっくりと口を開く。

「俺は、俺の思うようにやる。
したい事はする。したくねぇ事はしねぇ。お前だけじゃねぇ。誰にもそれは止めさせない」

ルフィは少し表情をゆるめ、肩を竦める。
「あん時、俺はアイツとやりあう気が失せちまったんだ」
「何で?」
問われてルフィは困ったように首を傾げた。
「うーーん、上手く言えねぇけど・・・カン、だな。
ぶっとばす理由があるようなヤツは何となく分かんだ」

ルフィは記憶を辿るように宙を見上げる。
「最初はアイツもそうかな、って思ったけど違った。ずれてるってのかな。同じ土俵にいねぇって感じ。
したら急に冷めた。やる気ががなくなったんだから手も出す気もねぇ。ボコられたのも仕方ねえってな」

大体よ、とルフィは続ける。
「お前も言ってたろ、小物だって。
それに、アイツは運が良かったんだぜ。お前を連れてこうとしなかったから」
そう言ってルフィはニヤリと笑う。

「お前に手ぇ出してたら、今頃口もきけねぇ位にぶっ飛ばしてたからな」

ルフィを見つめるナミの目が一瞬大きく見開かれ、それから、ふとゆるんだ。

「ようやっと笑ったな」
ルフィは嬉しそうにそう言うとナミを抱き寄せる。
まだ、しゃくりあげる肩に手を置き、あやすように片手で頭を撫ぜる。

ナミは抱きすくめられたまま顔をあげた。
「・・・・・もう、子供じゃないんだから」
不満げな口調で、それでも微笑む瞳から涙の名残が落ちる。

ルフィは頬に残るその跡を舌先でペロリと舐める。
「・・・・知ってるさ」
ニヤリとしながらそう言うと、ルフィはまだ涙の味を残すその舌先をナミの唇へと挿し入れた。
入ってきた舌はゆっくりと味わうようにナミの口の中を巡る。
「ひっく!」
キスの最中、ナミの身体が涙の反動で揺れ、その弾みで二人の額がコツンとあたる。

「ぷっ」
二人は同時に吹き出す。
「どうも、しまらないわね」
苦笑混じりのナミに、ルフィは笑う。
「ま、気楽にやろうや」
つられるようにナミも笑うとその身を伸ばし、ルフィに軽い口づけを返した。



「んっ・・・・・・・ふ」
甘い吐息が流れ始めた室内。
ソファに浅く腰掛けたルフィの、その腿の上に乗せられ、ナミは向かい合うように座っている。

柔らかく抱きしめた黒い髪。
ナミの腕の中で、ルフィの頭は小さく動き続けている。
着衣は既にたくし上げられ、その下で顕わになった胸の先端にルフィは口を寄せている。

ちゅ、ちゅ、と吸い上げる音が響く度、ナミはその背を波立たせる。
「・・・あ・・・・あ、ん・・・・あ・・・」
止めど無く溢れる吐息。

ルフィはナミの胸のしこりから唇を離すことなく、スカートの中、柔らかな白の下着に手を伸ばす。
下着を下ろし、右足を上げさせ引き抜こうとする。
ナミのしなやかな身体は容易くその動きに応じた。

右足を抜いた下着は、左の腿に絡む。
スカートの中に広がる淫靡な黒を、腿に絡む下着の白が引きたてる。

目下の光景にルフィは小さく喉を鳴らし、右手でスカートの闇を探る。
さわりと手をくすぐる淡い体毛の真中を指先で拭う。
指先が浅く窪みを擽れば、そこは容易く熱く溶けた蜜を吐き出す。

「あぁんっ!」
細い肩が震え、ルフィの頭をかき抱く腕にも力が入る。
ナミの腕を黒の髪が擦る。
腕の内側に感じたその感触に、ナミは我に返ると腕の力をゆるめる。
「っぷぁっ!!」
ナミの胸の上に顎を乗せると、ルフィは大きく息をつく。
「相変わらず、濡れんの早ぇなぁ」
苦笑まじりにそう言うと、ルフィは濡れた指をナミの胸に擦りつける。
肌の上に、ねっとりと跡をつける快楽の証。
「・・・・・・ん」
ナミは小さく頷くと声をひそめてルフィを誘う。
「ね、今日はもう欲しい」
ナミの言葉にルフィは嬉しそうに笑ってズボンのファスナーに手をかけた。
「俺ももう挿れたくて仕方ねぇんだ」



スカートの作る暗がりの、更に奥で息づく蜜壷。
ナミはルフィの肩に両手を置くと腰を浮かし、ルフィ自身をそこにあてがう。

ルフィはナミを見上げたまま動かない。
ナミはその視線に促されるようにゆっくりと腰を沈めていく。

ぬるり、と音もなくルフィの先端がナミの体内に取り込まれる。

「あ・・・・あ、あぁ・・・・・あ・・・」
ナミの口から声が零れる度に、ルフィは蜜の滴る壷の奥へと導かれていく。

「・・・・く、うぅんっ」
「うっ、く・・・・・・・」

その身の全てを沈めてしまうと、両者は互いに切なげな息を吐き脱力する。
ルフィの肩に置いた自らの手にぐったりと額をつけるナミ。

ルフィはそんなナミを起こし、
「今日は好きに動けよ」
とナミの腰に両手をまわす。

その言葉にナミは小さく頷くと、僅かに浮かせた腰をゆっくりと前にスライドさせる。

「あぁっ・・・・は・・・」
ルフィの先端がナミの内側の壁を何度も擦り上げる。
抜き、挿す度に溢れた蜜がくちゅくちゅと生々しい音をたてた。

ナミはルフィの体毛に自らの秘所を擦りつけるように腰を送る。
大きく開いた秘所の上部で、はちきれそうになっている真珠色の蕾。
ナミは意図してそこをルフィに押し当てている。

ざりざりと蕾が刺激を受ければ、ナミの喘ぎ声は途端にその艶を増す。

「あ、あ・・・ん、気持、ち・・・イイ・・・」
堪らないと頭を振りながらもナミはその動きを止めない。

柔かで熱いナミの秘所があたる度にきつく締められ、流石にルフィの表情も険しくなる。
ルフィはナミの頬に手を伸ばす。
半ば焦点を失いかけていたその瞳がゆっくりとルフィの元に向けられる。

「その顔、凄ぇイイ」
切ない表情からルフィは笑顔を作ってみせる。

「怒ってる顔も泣き顔も、好きだけどさ」
「馬鹿・・・・・」

照れたように俯くナミの瞳を覗き込むようにしてルフィは続ける。
「啖呵きった顔も良かったけどな」
「惚れ直した?」

誇らしげな顔で聞き返すナミの腰に手を戻すと、ルフィはその手をぐいと引く。
「ホラ・・・っ、分かる、だろ?」
「――!!? きゃっ、あぁぁぁぁっ!!」
それまで以上に質量を増したルフィに深く挿し込まれ、ナミは大きく喉を反らす。

ルフィは容赦なく、ナミの腰を持ち上げては抉るように自身を埋め込んでいく。
ぱしぱしと互いの肌がぶつかる音、それが徐々に早くなっていく。

「悪ぃ、も・・・俺、出そう・・・っ」
ナミの腰を深く引き寄せ、ルフィは切なげに呻く。

「ん、うんっ・・・・うんっ・・・・」
ガクガクと首を振るナミも限界を目前にしている。

ルフィは引き寄せたナミの蜜壷を壊さんばかりの勢いで自身を打ちつける。
ソファが一際大きな音をたて、その場に熱い溜息が流れた。



「あ〜、スッキリした」
鼻歌でも歌いそうな程、ルフィは上機嫌である。
ソファの上で抱きかかえられたまま、シャツを下ろすのに四苦八苦しているナミにルフィは笑いかける。

「お前もスッキリしたろ?」

「これで心置きなく空島に行けるな」
満足げに笑うルフィにナミは顔を顰めてみせる。

「何かうまく乗せられたような気がするわ」

くくくと肩を揺らし、ルフィは言う。

「ま、細けぇことは気にすんなよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・そうね」

つられたようにクスクスと笑いを零しながらナミはコツンと自分の額をルフィの額にぶつける。
まるで前祝の乾杯のように。




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