■ ベビードール&ガーターベルト <ゾロナミ>



上陸した島で散々買い物を楽しんだ後でナミが選んだのは、上の中、といった瀟洒な宿だった。
清潔であれば、あとは安ければ安いほうがいいというナミにしては珍しい選択だと思いつつ、大荷物を抱えたゾロはナミの後をついて宿の入口を潜った。
案内された部屋に入り、視界を遮るほどの荷物を全て床に置くと、ゾロはやれやれとばかりに腕を回す。
「思い切っただけあってイイ部屋ねー」
大窓から街の灯を眺めていたナミは、カーテンを閉めて振り向いた。
大きなベッドに、人一人寝転がっても余りあるほどの長いソファに透かしの模様の入ったローテーブル。確かに部屋は広くて調度も立派だった。
ゾロは部屋の奥にある扉を開く。そこは、普通の宿の一室ほどの広さのあるバスルームだった。



シャワーを浴びた後、バスタオルを腰にまいたまま、ゾロはむっつりとした表情でベッドの端に腰を下ろしていた。
あれだけ広いバスルームなんだから、とりあえずソコで、と目論んでいたゾロを、ナミは早々にバスルームから追い出したのだった。
手持ち無沙汰なまま、ゾロは部屋のそちこちに目をやるが、そこにゾロの興味を惹くものはなかった。結局、ゾロの視線はバスルームに続くドアノブへと注がれることとなる。 やがて、カチャリと音がして、ゾロの見つめるノブが回った。いかにも待ち構えていたということ気取られたくはないゾロは慌ててノブから視線を外し、あらぬ方を向いた。
そんなゾロの視界の端に、何か白いものがひらりと翻った。

扉の前でくるりと回った後、唖然として見つめるゾロの顔を見てナミはにっこりと笑った。
ひらりと翻ったのは腰までのキャミソールの裾。形のよい脚を包むのは、その裾の際までの白のストッキング。
いつもナミが好んで身につけるような下着に比べれば、露出は格段に少なくはあるのだが。
胸の谷間の辺りで大きなリボンを形作るその布は、身体の線が透けて見えるほどに薄い。
「たまにはいいでしょ? こういうのも」
笑みを湛えたまま、ナミはゾロのもとへと足を運ぶ。
「はい、どうぞ」
そう声をかけても、ベッドに腰をかけたまま、訳が分からないといった風で見上げてくるゾロにナミは苦笑を落とした。
「忘れてんの? アンタの誕生日よ。今日」
ああ、と思い出したように口を開いたゾロの右腿にナミはするりと腰を下ろし、左腕をゾロの首に回す。
「もしかして、ありゃあ俺にくれるもんなのか?」
入口近くにある大荷物を指したゾロに、ナミはううんと首を振った。
「あれは全部私の」
「だろうな」
苦笑を浮かべたゾロを見上げ、ナミは何よ、と目を細めた。
「このプレゼントに不満でも?」
「ねェよ」
降参でもするようにゾロはひょいと肩を竦めた。


「しっかし・・・・どこで買ってきたんだ? こんなの」
「あら? 下着屋で普通に売ってるわよ。これくらいなら」
そう言ってナミはゾロの腿の上に乗ったまま、片方の脚を上げてみせた。キャミソールの裾がふわりと浮き上がり、ストッキングを吊るしているレースのベルトがチラリと覗いた。
「エロ人形みてェだな。んなモン着てると」
何気なくそんなことを口にしたゾロをナミは見上げる。
「・・・・・・・そんな人形どこで見てきたのよ。スケベ」
ぐっと返答に窮したゾロに、ナミはからかうような笑みを向けた。
「けど、それもいいかもね」
何かを思いついたような楽しげな口調でそう言うと、ナミは突然身体から力を抜き、ゾロの胸の中に倒れるようにもたれかかった。
「どうした、おい!?」
慌てた様子で、ゾロはナミの顎を掴み上向けさせる。ゾロのなすがままに顔を上げたナミは悪戯な光を宿した瞳だけで笑ってみせる。
腕の中にくたりともたれかかったその姿は、まさに人形そのものだった。
そういう趣向かよ。
ゾロは口元をニヤと歪ませると、生きた人形を抱えて立ち上がった。

ベッドに横たえられ、身動き一つしないナミの腰の辺りを跨ぐようにしてゾロは両膝をついた。
身を屈め、ナミの胸元を飾るリボンの端を片手で引けば、微かな衣擦れの音と共に半透明の極薄い布は、はらりとナミの身体から滑り落ちた。
シーツの上に、まるで羽のようにその布は広がる。その中心には残り僅かな布地で肌を隠す人形がいる。それまで胸元を押さえていた布が取り払われると、細い肩紐につるされた極々短いキャミソールが乳房に弾かれるようにして浮き上がった。
ゾロはその合間に手を伸ばす。
滑らかな布の感触を手の甲に、柔らかで吸い付いてくるような肌の感触を手のひらに、ゾロの大きな手がキャミソールの中を無遠慮に這い回る。
ちら、とナミの顔に目をやれば、そこにはまだ涼しげな表情がある。僅かに目を細めると、ゾロは柔らかな輪郭をなぞっていた指先を乳房の先端へと向かわせた。
指の腹で二度三度、円を描くように先端を撫でれば、立ち上がりかけていた乳首は敏感に反応する。ぽつりと硬くなったそこを三本の指で苛む。その瞬間、人形の指先がシーツを掻くように引き攣ったのをゾロは見逃さなかった。
ゾロは一旦、ナミの胸元から指を引き抜くと親指、人差指、中指の順に舐めていく。そうして、濡れた指を再びキャミソールの下に潜り込ませた。三本の指を経由して、ゾロの唾液が桜色の突起へと塗り込められていく。ぬるぬるとしたその感触は、まるで直に舐められているような、否、三本の指の動きが舌よりも複雑な動きでナミの乳首に快感を与えていく。
ナミの口から、はっきりと快楽に色づいた吐息が零れ出たのを耳にし、ゾロは嗜虐的な笑みを浮かべ、その身を後退させた。

ナミの脚の間に膝をつくと、細い腰を両手で掴み引き寄せる。抵抗がないことをいいことに、ゾロは白のレースの縁取りから伸びる両の脚を肩に担ぐようにして広げた。
秘所を覆うその小さな布きれにゾロは指を這わせる。ざらりとしたレースの感触の下に、肌の弾力を感じる。なだらかなカーブを描く下腹から、自分を惹きつけて止まない秘唇へと。ゆっくりと落ちていく指の動きが、秘唇へと辿りつく手前でピタリと止まった。
秘唇を隠すべき布には、その形に沿うように亀裂が入っていた。
「・・・・・・随分実用的な人形じゃねェかよ」
くくく、といかにも愉し気にゾロは喉を鳴らした。

下着をつけたままの尻を引き寄せ、顔の高さまで持ち上げれば、ナミの膝がゾロの両肩でかくりと折れた。
目の前の白い亀裂の奥に、薄い恥毛と、淡く色づく女陰がある。ゾロは両手でナミの尻を支えたまま、その亀裂に舌先を潜り込ませた。
その瞬間、ナミの右足がビクリと跳ね、その踵がゾロの背を軽く叩いた。
亀裂の下方から、挿し込んだ舌をゾロは焦らすようにゆっくりと動かす。ぬるりとした体液を湛える窪みを浅くなぞり、その舌先は亀裂の上部へと向かう。
やがて舌先につるりと滑る突起の存在を感じた。ゾロの足元でナミがひくりと息を飲むのが分かった。
すっかりと充血したその珠をゾロは舌先で何度も突く。その度に、ゾロの顔を挟む白い腿が何かをせがむように震えた。
だが、ゾロは意地の悪い笑みを張りつかせると、ナミの尻を抱えた手を下ろす。
ずるずると足元に崩れ落ちた身体を起こし、後背座位の形でナミの背を引き寄せる。腰に巻いていたバスタオルの結び目を解けば、とうに硬くなって天を向く男根が現れた。

ゾロはナミの両脇に手を差し込み、その身体を軽々と浮かせる。
ひりつく程に突入をせがむ息子を宥め、ゾロはナミの入口に先端を埋めるだけにとどめる。
焦らしながら、自らも焦れる。そんな時間はやたらと長く感じられた。
先に根負けしたのは動かないはずの人形の方だった。
ゆっくりと腰が前後に振れる。
先端だけでなく、全体を誘い込もうとするようにナミは腰をくねらせた。
「勝手に動いてんじゃねェか? お人形サンよ?」
揶揄するような口調に、ナミの動きがピタリと止まる。その瞬間、ゾロはナミの身体を支えていた腕の力を一気に抜いた。
身体の重みを加えた勢いで貫かれ、ナミは大きく背を反らし、声にならない悲鳴を上げる。
「悪ィな。扱いが乱暴で」
急激な締めつけに、顔を顰めながらもゾロは笑う。
「そこで止められちゃこっちも辛ェんだよ」
ギリギリと根元まで深く埋め込んだまま、ゾロはナミの腰を両手で掴み、強く揺する。
「んんっ、あっ、あああああぁっ!!」
堪らずに声を上げたナミに満足気な瞳を向けると、ゾロはちらりと歪めた唇をナミの耳元に近づけた。
「壊れんじゃねェぞ? ナミ」

繋がったまま、ゾロは己を埋め込んだままのナミの下腹部に手を当て、一際強く突き上げる。手を押し当てられた所為で擦られる箇所が変わり、ナミの背と内腿が引き攣るように跳ねた。突き上げた勢いのまま、ゾロはその背を前方に押し出した。
深くを抉った時に軽く達してしまったのか、ナミは真実身体に力が入らないようだった。
シーツの上に両腕を投げ出してうつ伏せるその姿は、まるで本物の人形のようだった。

自分の為だけに存在する世に唯一の人形。
それは所有欲と幾ばくかの背徳感でもって自分を昂ぶらせる。
この歳で人形遊びに嵌まるとはな。

薄く苦笑を浮かべ、ゾロはうつ伏せた人形の身体を真横に立てた。ナミの右足を跨ぎ、大きく広げた左足を抱え、倒れそうになる身体を支えてやる。
そうしてゾロは僅かに空く隙間さえ許さないといった勢いで、ナミの中深くに己を打ち込んだ。
まるで噛み合うように、二つの身体は近づいては離れる。激しすぎる動きで、滑らか過ぎるストッキングに包まれた左足を抱えるゾロの腕がつるりと滑った。忌々しげに眉を顰め、ゾロは目の前の膝裏にあたる箇所に噛みつく。そのまま顔をスライドさせれば、大げさな音をたててストッキングは破れた。その破れ目に手を突っ込み、強く引き寄せては僅かに汗ばんだ肌に舌を這わせた。
「あ! は・・・はっ、ん・・・はぁっ!」
突かれ、揺すぶられる度にナミの口から甘い息が撒き散らされる。
繊細なレースの飾りのついた亀裂の合間を、濡れて赤黒く光る男根が出入りする。同じくレースをあしらったキャミソールはゾロが動く度に頼りなげに揺れ動き、乳房の下の見事なラインをちらちらと見せては隠す。

そのアンバランスないやらしさと、今まで味わったことのない倒錯感に酔いながら、ゾロはナミの腹の上に熱く滾った欲望を吐き出した。



荒い息遣いと共に大きく上下していた肩の動きが止むと、ゾロはぐったりと横たわったままのナミを抱きかかえた。
スプリングの利いたベッドに足をとられ、斜めになったナミの腹から、つい今ほど吐き出した精液が零れ落ちそうになり、ゾロは慌ててバランスをとる。
「えっ!? 何?」
驚いたように目を見開いたナミを見下ろし、ゾロはニヤと笑う。
「汚しちまったからな。これからきっちり洗ってやるぜ? お人形サン?」
「ちょっ!! 待っ!!!」
抗議の声をものともせず、上機嫌な様子のゾロはバスルームに向かうべくベッドを降りた。


costume request 真牙様


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