■ ブルマ <ルナミ / パラレル>
部活の時間も終わり、人の去った体育館はやけに広く感じられる。鉄枠の重い引き戸がゆっくりと開くと、二つに分けたオレンジのおさげの頭が、何かを探すようにひょいと現れた。
奥の隅に、ぽつんと忘れられたオレンジのボトルケースを見つけると、ナミは狭い扉の隙間を猫のようにするりと抜け、館内に入り込んだ。
白い体操着に濃紺のブルマ姿のナミが、しなやかに館内を駆けた。
シューズのゴム底が床を踏み鳴らす音だけが響くがらんどうの空間。
「まだ追いつけるかな?」
女子部の仲間には先に帰ってるよう言ってはおいたが、急いで着替えればまだ間に合うかもしれない。
ボトルケースを手にナミはくるりと身を翻す。高い窓から差し込む西日が眩しい。ふ、と大きな目を眇めた瞬間、背後から妙な音が聞こえ、ナミは目を細めたままその表情を硬くした。
後ろには体操器具を入れる倉庫がある。振り向いてよく見れば、ほんの僅か扉が開いていて、音は確かにその奥から聞こえてきた。
不審者?
ナミは足音を忍ばせ、その隙間からそっと中を覗う。
緊張に満ちた眼差しから、次の瞬間、一気に力が抜ける。中では、白いTシャツと真赤なショートパンツのジャージ姿の青年が、体操用のマットの上に大の字になって眠り込んでいた。
扉の中を覗いたまま、げんなりとした口調でナミは呟いた。
「・・・・・・ルフィ」
四つ年上のお向かいさん。
幼馴染のガキ大将。
そして、私の―――――
その先に浮かんだ言葉を打ち消すようにナミはぶるりと大きく頭を振った。オレンジの短いおさげが肩を掠めた。
小さい頃からすばしこくて有名だった少年は、体操で全国的にも有名な高校に入り、そして卒業した。入れ替りにナミが同じ高校に入るという春に、何の前置きもなく、ふらりといった格好で海外に留学してしまった。
それから一度も帰国することも、便り一つ寄こすこともなく、ナミがルフィの姿を目にするのは、パソコンのモニタ越し。ネットに流れる情報でだけだった。
それが夏休み直前の全校集会で。
毎度毎度変わり映えしない長々とした話を聞き流していたナミの耳に、体操男子部の臨時コーチという言葉が耳に入った。
ふ、とあげた目に、ステージの袖からづかづかと歩いてくる男の姿が映った。壇上で正面を向いた男を見て、ナミの目が見開かれた。
二年半振りのルフィの姿がそこにあった。
そこから先の記憶は恐ろしいくらいにあやふやだった。壇上で何事かを喋っているルフィ。唇の動きは分かるのだが、その声が耳に入ってこない。何か馬鹿な事を言ったのか、一度二度、場内がどっと沸いたような感じがした。
挨拶を終え、ひょこりと頭を下げたルフィは、だが、只ではステージから降りなかった。
何故か壇の前に回ると、ルフィは両足でトンと軽やかに床を蹴った。ふわりと浮き上がった身体は、見事な前宙を決めながら階下へと着地した。
拍手喝采の中を悠然と進み、ルフィはナミの前でその足を止めた。
絶句したまま、呆然とただ見つめるだけのナミに、ルフィは邪気のまるでない鮮やかな笑顔を向けた。
「ただいま、ナミ」
ルフィは、子供をあやすかのように軽々とナミを抱えあげる。二人の周囲が一気にざわめいた。
「ただいま」
もう一度そう言って笑うルフィに対し、我に返ったナミがまずしたことは、思い切り握り締めた拳でその頭を殴りつけることだった。
ホントに、要らん恥かいたっての。
平和そうに寝息をたてる男を前に、ナミは思い出し怒りをする。
女子部と男子部の違いこそあれ、同じ体操部であるが故に、いくら避けようとも顔を合わさない訳にはいかない。それでも、全校生徒の目の前で抱き上げられ、更にはぶん殴った手前、何とも気まずい感じがしてナミはできるだけ目を合わせないように心がけていた。
けど・・・・ちょっとだけ。
ナミは念の為に辺りを伺い、誰も見ていないことを確かめてからそっと倉庫の中に入り、扉を閉めた。
マットの空いているスペースに腰を下ろし、ナミは跳び箱の側面にそっと背を預けた。
ルフィの寝顔をじっとみつめるその目が、ふ、と優しく弛んだ。
寝顔は全然変わらない。
くせのある黒髪も、子供の頃に作った目の際の傷も。そして、大事そうに胸に乗せた麦わら帽子も。
小学校に上がるか上がらないかの頃に、体操教室のイベントで出会った外国人選手に貰ったのだという。その人がコーチを務める大学をルフィは選んだのだと、ナミは後に知った。
けれど、とナミは視線を身体の方へと向ける。
背は少し高くなったくらいだろう。だが、硬そうな肩や、シャツの袖から見える逞しい腕、筋張った脛は分かれた頃には見られなかったものだ。
会えずにいた時間は、ルフィの身体から僅かに残された少年ぽさをすっかりと取り去っていた。
マットをはみ出し、床の上に伸びた手のひらをナミは見つめる。
この手が私を――――
思い出した瞬間、身体がかっと熱くなり、慌ててナミは視線を外した。天窓から差し込む西日が照らす床をナミは見つめる。何だかまるで現実感がない。こんなところにルフィと二人で居ることが、まるで夢みたいに思える。ナミはくすりと笑んで膝を抱え、額を乗せると静かに目を閉じた。帰宅する学生の笑い声が外から聞こえてくる。その声はやがて遠く、微かなものとなっていった。
ガシャン!!
突如響いた重々しい音でナミは目を覚ました。
薄暗い室内。起きた瞬間、自分がどこにいるのか把握できず、ナミはがばりと身を起こしたまま暫し固まっていた。
それからゆっくりと周囲を見回す。平均台に、鞍馬。見覚えのある器具と、その間でルフィがもぞもぞと伸びをしながら起き上がってくる。その胸から落ちた麦わらが乾いた音をたてて床に転がった。
「あーーー?」
大欠伸を一つしたルフィは、ナミと目が合うと、がりがりと頭を掻きながら嬉しそうに笑った。
「お? 何だ、お前も寝てたのか?」
寝てた?
そうだ。うっかりあのまま寝ちゃって。
ナミの心中を冷やりとした汗が流れていく。
ということは、さっきの大きな音は・・・・・・・
ナミは勢いよく立ち上がり、扉に駆け寄った。押せども引けども扉はびくともしない。完全に施錠されてしまっていた。外にはもう人の気配はしない。
へなへなと座り込んだナミの背に、ルフィののんびりとした声がかかった。
「どうやら閉じ込められちまったみてェだな。俺ら」
顰めっ面で扉の前を行き来するナミをルフィは不思議そうに見つめている。
「どうした? 何か困り事か?」
余りにも暢気なその問いかけに、ナミはギリリとルフィを睨みつけた。
「当たり前じゃない!! 閉じ込められてんのよ、私達っ!! 馬っ鹿じゃないの!? アンタ!!」
「お前なァ」
ルフィは苦笑を浮かべて肩を竦める。
「仮にもコーチを捕まえて馬鹿はねェだろうよ。一応センセーだぞセンセー」
ナミはふん、と顔を背ける。
「アンタは男子部のコーチでしょ。私は女子部だから関係ないもの!」
「じゃなくても、俺ァお前の初――」
「ともかく!!」
ルフィが口にしかけた言葉を、ナミはきっぱりと遮る。
「何とかしてここ出ないと・・・・・って今何時かしら?」
何とか周囲が把握できる位には目が慣れてきた。手近な壁に目をやってみるが、時計の一つもない。
「携帯はロッカーの中だし・・・・電気のスイッチは外だし・・・・ルフィ、アンタは?」
「俺、携帯持ってねェ」
深い深い溜息をナミはついた。
白いマットの上に、跳び箱が影を作る。何の気なしにその光源を辿ってみたナミの顔が、ぱっと明るくなった。
「あそこ!!」
ナミが指差す場所をルフィが見上げる。天井のすぐ下に設けられた細い天窓。そこから外部の灯りが射し込んでいた。
跳び箱を壁際に寄せると、ナミはひょいと身軽にその上に乗り、爪先立ちする。
「出るのは無理でも、ここ開けて叫べば誰か来てくれるかも――」
だが、かなり高い位置に取り付けられた窓には、それでもまだ手が届かなかった。ナミが視線を窓から下へと落とすと、欠伸の最中のルフィと目が合う。ナミはルフィを見下ろし、にっこりと笑った。
「これでいいかー?」
ナミを肩車したルフィがそろそろと立ち上がる。跳び箱の天辺を足場にしているので、不安定なことこの上ない。不意にバランスを崩しそうになったルフィは慌てて、ナミの足を支える手に力を込めた。
「ちょっ!?」
慌てたような声が頭上から上がる。
「あんまり動かないで・・・ったら!!」
内腿をルフィの髪が擽る。その微妙な感覚に、ナミは顔を顰めた。
「お前・・・無茶言うなって」
すべすべとした形のよい腿に挟まれながらルフィは苦笑する。
「あ・・・・もうちょっとで届きそう。そのまま・・・・・・ん?」
「どうした?」
「ダメ」
明らかに落胆を含んだナミの声が降ってくる。
「開け閉めできない窓だわ、これって」
採光の為に作られたそれは完全に嵌め殺しの窓だった。
「いっそ、割っちゃおうか」
「ナミ?」
ルフィが見上げれば、ナミがまさに腕を振り上げているところだった。
「バカ、止せ!! 怪我すんぞ!!」
ナミを窓から離すべく、ルフィが右肩を引く。その瞬間、ぐらりとナミがバランスを崩した。
「きゃっ!!?」
「やべっ!!!」
ルフィの上から、跳び箱の上から、二人は縺れ合うようにしてマットの上に墜落した。
「・・・・・いったー」
盛大に顔を顰めながらナミは身を起こそうとして、途中でその動作を止めた。自分が落ちた場所がどこなのかに気づいてしまったからだ。
ルフィの身体に跨るような格好で、ナミは固まった。
ナミを乗せたまま、ルフィは身動き一つしない。
「・・・・・・・ルフィ?」
恐る恐るといった風で、ナミはルフィの名を呼ぶ。応答はない。そっと顔を覗き込んだその時、両脇から回された腕がナミを引き寄せた。
「やっと捕まえた」
「ルフィ?」
腕に込められた力は強く、ナミは身動き一つできぬままでルフィの胸の中に留まった。
「お前、手強すぎるぞ」
ナミを胸に抱いたまま、ルフィは微かに笑った。その息遣いがナミの髪を撫ぜていった。
「いきなりぶん殴るしな」
「あれはアンタが急に!!!」
そう言って顔を上げれば、目の前に自分を見つめる瞳がある。
「会いたかったぞ」
「な・・・・によ・・・・」
ナミはナミは唇を強く引き結ぶ。
「黙って急に居なくなって、急に戻ってきて!!」
長い間溜め込んでいた思い。溢れ出す感情に喉が詰まり、声が震えた。
「勝手なことばっかり言うんじゃないわよっ!!」
激昂したナミを、ルフィは変わらぬ静かな瞳で見つめる。
「もう、嫌になったか? 俺のこと」
「馬鹿・・・・・・」
ルフィを睨みつけるナミの目に涙が浮かんだ。その瞳がふらりと揺れる。
「馬鹿ルフィ! バカバカっ!! 私だって、会いたかったわよ!! ずっとずっと!!!」
しゃくり上げながらナミはルフィの胸に額をつける。
そうか、と独り言のように静かに呟き、ルフィはナミの髪を束ねていたゴムを二つとも外すと、宥めるようにその髪を梳いた。
「あんまり泣くな・・・・お前泣かすと俺が親父さんに殺される」
心底困ったようにそんなことを言うので、ナミは可笑しくなって泣きながら笑った。
「ここじゃ暗くてお前の顔も見えねェな」
ルフィはナミの身体ごとゆっくりと起き上がると、ナミを跳び箱の上に座らせ、自分はその傍らに立って大きく伸びをした。
「大丈夫? 重くなかった?」
心配そうに尋ねるナミに笑みを見せ、ルフィは口を開いた。
「重くはねェけど・・・・」
「けど?」
「お前、胸でかくなったなァ」
形のよい脚を剥き出しにして、跳び箱を跨ぎ、腰を下ろしているナミ。豊かに育った胸は確かに体操着の下では窮屈そうに見える。陽の光の下では快活に見えるその格好も、薄明かりの中で見れば、何とも隠微なものに思えた。
言葉もなく、思わず胸を庇ったナミにルフィは近づく。
「そういや、さっきお前、黙って居なくなったって言ってたけどよ」
身を屈め、囁くようにそう言って、ルフィはそっと片手を伸ばした。
「ちゃんと印、残してったろ? お前は俺のもんだって」
ここに、とルフィはブルマの上、下腹部の辺りに手のひらをあてがった。
「ちゃんと覚えてるだろ?」
忘れる筈などない。
居なくなる前夜。身体に刻みつけられた痛みと、それを凌駕する熱を。
初めての、そしてたった一夜の秘め事を。
ルフィがその目をひたとナミの瞳に合わせる。
欲望を隠すことのない真直ぐなルフィの眼差し。
長い間、奥底で燻っていた火は一瞬にして煽られ、ナミの身体を駆け巡る。その熱にナミはぞくりと背筋を粟立たせた。
無言のまま、ルフィはナミを跳び箱の上に寝かせ、ブルマを下着ごと引きずり下ろした。
「や・・・・ルフィ・・・・恥ずかしい」
脚を閉じようとするナミをルフィは許さず、跳び箱を跨ぐ格好で寝かされたナミは、自然、両の脚を大きく開く格好となる。左のソックスに絡まったブルマは、やがてぱさりと床に落ち、そこにはくしゃりと丸まった下着だけが取り残された。
淡い茂みをルフィの指先が撫ぜる。なぁ、とルフィは悪戯な笑みをナミに落とした。
「他のヤツに触らせたか?」
答えなど分かっているくせに。この男は。
からかうようなルフィの問いかけに、ナミは狭い隙間に右肘をつき、僅かに身を起こして険のある瞳をルフィに向けた。
「そんな事する訳ないで・・・・・・・っ、あぁっ!?」
冷やりとしたのは、ほんの一瞬だった。そこが開かれたのだと気づいた時にはもう、ルフィはナミの秘所に舌を這わせていた。
「ダ・・・メ・・・・・・やっ・・・・ルっ、・・・・そこ、汚れて、る・・・・んぅっ!!」
ナミは大きく仰け反りながら、何度もかぶりを振る。
それでもルフィの舌は容赦なく二枚の襞を捲り、やがて、上部で慎ましやかに顔を覗かせる敏感な珠に触れた。
「んあっ!!」
びり、と走った甘い刺激に、ナミが短い悲鳴をあげた。
ルフィの舌に触れられるたびに、ナミのそこは纏う衣を脱ぎ捨て、真珠のように艶やかな淡いピンクの表面を露出させていった。
快楽が羞恥心を凌駕していく。
まるでその身をルフィに差し出すが如くに、ナミは腰を浮かせてしまっていた。
「やべ」
そう呟いた後、ルフィはナミの膣口に唇をつけ、思い切りそこを吸い上げた。
ずるり、とはしたない音をたてて吸われる感覚にナミが喘ぐ。
身を起こし、濡れた唇を手の甲で拭うと、ルフィはニヤと笑った。
「落ちたら染みになるだろ?」
そうしてやおらTシャツの裾に手をかけると、ルフィは思い切りよくそれを脱いだ。
顕わになる上半身。細身の、だが引き締まった腰と見事に割れた腹筋に力強い二の腕。僅かな光に照らされた逞しい肉体を目にした瞬間、ナミの身体が内側から震えた。
かつて、この男が侵入したその部分がきゅうと縮んだのが分かった。下腹部が切ない痛みにずきりと疼いた。
欲しくて堪らなかった。目の前の男を。
ルフィは脱いだシャツをくしゃくしゃと丸め、ナミの尻の下に敷く。
「いくら染みだって、他のヤツに触らせたくねェからな」
「バカ・・・・」
掠れた声は驚くほど甘い。ルフィはペロリと指先を一舐めすると、目を細めながら再びナミの秘所に手を伸ばした。
「んっ・・・・あぁっ・・・あ・・・・ん!!!」
ぷくりと膨れ上がった珠を刺激される度に、ナミは乱れていく。
「誰にも触らせなかったって割に、随分敏感だな」
意地の悪い笑みを見せるルフィを見つめ返したナミは、す、とその目を細めた。
「一人で・・・してたもの・・・・アンタのこと、思い出しながら」
大胆な告白に、ルフィは目を見開く。別れた時には少女だった者が、今は女の顔で笑みを浮かべている。
「・・・・堪んねェこと言うじゃねェか」
ルフィはジャージのパンツの中に手を突っ込むと、硬くなった自身を取り出し、しっとりと濡れたナミの膣口にあてがう。
「挿れる、ぞ」
「・・・・・・・ん」
綻びかけたとば口は、ぬるりとルフィの先端を飲み込む。だが、長く何者の侵入を許さなかったその先は、ナミの心情とは裏腹にルフィをも拒むようにすっかりと閉じてしまっていた。
「流石に・・・・キツイ、な」
まるで押し戻すかのような圧力に、腰を進めようとするルフィが呻いた。
熱い息を吐きながら、ルフィはじりじりとナミの中をこじ開けていく。
「いっ・・・・・うぅっ!!」
苦しげに顔を歪め、ナミの口から堪え切れなかった悲鳴が上がる。ルフィの首に回されたナミの指先が、震えながら男の肌を掻いた。
「辛ェか?」
ルフィの顔の下で、ナミはふるふると首を振る。うっすらと涙の滲んだ目で、静かに笑った。
「・・・平気・・・・だから・・・早く、来て」
何かを解き放つようにナミはルフィの首の後ろから手を離す。
「分かった」
ルフィは身を起こし、ナミの腰を両手で掴むと、一気にその細い腰を引き寄せた。
「あぁあっ!!」
「うぅっ・・・・く!」
与え、与えられた衝撃に声を上げたのは二人同時だった。
ぱたりとナミの上に倒れ込んだルフィの黒髪を、ナミはそっと撫ぜた。ルフィが顔をあげ、笑った。
「ただいま」
「・・・・・おかえり、ルフィ」
ようやく言えた。
心の底から、身体の奥から、ナミは答えた。
獣のような浅い息遣いが倉庫に満ちていく。狭い跳び箱の上で、ナミの身体が上下に揺れる。その度に、上着の裾がずり上がり、可愛らしい臍が見え隠れした。
根元まで深く挿し込んだまま、ルフィが更に腰を進めれば、ナミが切なげな声を上げて鳴いた。
「まだ、痛ェか?」
ルフィの問いかけに、ナミは戸惑ったような表情を覗かせた。
「痛くはないけど・・・・変な、感じ」
そう言って、ナミはルフィを飲み込んだ己の下腹部にそっと手を乗せた。
「奥の方が、ジンジンする」
そんなナミを見て、二度三度、目を瞬かせたルフィは、ジンジンか、と楽しそうに呟いた。ナミのもとへ身を乗り出すと、にっと笑う。
「初めてん時は、奥に挿れたら痛がってたけどなぁ」
ししし、と肩を震わせて笑う。
「ルフィ!!」
照れの混じった怒りの拳骨をひょいと受止め、ルフィは自分の肩に掴まるように促す。
「今度は落ちんなよ」
笑い含みのその声に、何事かと身構えるその前にナミの身体は抱き上げられていた。
繋がったままの身体が一気に引き上げられ、そしてすとんと落ちた。
「きゃっ、あっ・・・・はっっっ!!」
大きく呼気を吐き出し、ナミはルフィにしがみつく。
「あ・・・・あ・・・・お、く・・・・奥、に・・・」
ルフィは立ったままで、抱えたナミを上下に揺する。
「や・・・あ・・・・ルフィっ・・・・あたってる・・・・う」
うわ言のようにルフィの名を繰り返し、ナミはその唇をわななかせる。
ルフィの先端が身体の最奥にぺたりと張りついては剥がれる。見えるはずのない光景がナミの脳裏にありありと浮かび、快感を高めていく。
「あ・・・あ・・・・・どうし・・・よ」
どうしようもなく気持ちがよかった。奥を突かれる度に堪らない痺れが走り、積もっていく。その堰が間もなく切れるであろうことをナミの身体は予感していた。
「イっちゃう・・・・ルフィっ・・・・イきそう・・・あぁっ!!」
肩口で揺れるオレンジの頭を見つめ、ルフィは目を細める。
「いいぞ、イケよ。ナミ」
「んっ・・・・・あぁっ・・・・くっっっ!!!」
ルフィの肩に押し当てていた額を浮かせ、ナミは大きく背を反らす。ルフィの抱える膝が引き攣るように大きく震えた。
くたりともたれかかるナミを抱いたまま、ルフィはゆっくりとマットの上に腰を下ろした。
自由になった両手でナミの汗ばんだ頬を撫ぜれば、虚ろだったその目に光が戻るのが分かった。
「あ・・・たし?」
「初めて中でイったな」
黒の瞳を悪戯に輝かせてルフィはナミの目を覗き込む。
「ホントにイイ女になったな、お前」
ルフィはナミの背中に手を入れると、ブラのホックを外した。豊かな胸が弾けるように体操着を押し上げた。
その背を支えながら、ルフィはナミをマットの上に押し倒す。そうして、またゆるゆると腰を使い出した。
達したばかりの敏感な襞は、まだ細かく震えながらルフィを迎える。その繊細な刺激に、ルフィは切なげに眉を寄せた。
体操着の下で蠢く手が胸元に達した。下着を押し上げ、手のひらに余るほどに成長したその弾力を楽しむルフィの下で、ナミの口から再び甘い吐息が漏れ出した。
この身体も、その声も全て。
「お前は俺のモンだからな」
打ちつける腰の動きが徐々に力強さと速さを増していく。互いの息遣いだけが聞こえるその空間で、二人は駆け巡る快楽に身を任せた。
「やっぱ、このままってのはマジイ・・・よな」
マットの上に吐き出した快楽の残骸を見つめ、ルフィは、ほんの少しの間考える仕草を見せたものの、ま、いいかとあっさりと問題を棚上げした。
「乾くだろ、明日までにゃ」
「ちゃんと拭けっ!!」
ぽかりと殴られ、ルフィはえーと唇を尖らせる。
「何で拭けっつんだよ」
「あれ」
ナミの指した先には、跳び箱の上に乗せたままのルフィのシャツがある。
「アレかよ」
げんなりしたルフィを見てナミは楽しそうに笑う。その唇をルフィは不意に塞いだ。
「どうせ拭くなら、もっかい出したって構わねェだろ?」
笑うルフィをナミが呆気にとられた表情で見たその時、体育館の中をどやどやと人の足音が近づいてきた。
「ナミー! いたら返事しろー!!」
父の声にナミはぎょっと目を見開く。
「やっべ、服着ろ! ナミ!!」
わたわたと床に落ちた服を拾うナミ。ルフィのシャツを取ろうとしたその手が、跳び箱をがたりと押した。
「ナミ!? 居るのか?」
鍵を貸してくれと急かす声のすぐ後に、ガチャガチャと鍵を回す音が続く。
「あちゃー」
緊迫感の欠片もない間延びした声を上げると、ルフィは呆然とするナミを背中に庇った。
「ナミ、無事か?」
ガチャリと勢いよくドアが開く。
「よっ! おっちゃん!」
絶句し、固まった男にルフィはにっこりと笑って片手を上げた。
costume request あひる様
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