■ メイド服 <ゾロナミ / ギャルソンゾロver>



ねぇねぇ、と男は傍らを通り掛かった女給の袖を気安げに引く。
「どうなさいました? 旦那様?」
振り向いてにこやかな笑みを向けた女給を男はうっとりとした眼差しで見つめた。

藍色のワンピースはとてもよく似合う女給だった。
かっちりとした上半身とは対称的にスカートの丈は短く、白いフリルを二重にあしらったその裾は、身動きするたびに際どいラインまでふわりと浮き上がり、黒のニーソックスとの合間で白い脚がちらちらと見え隠れする。
ワンピースの上に纏うフリル付きのエプロンの白が眩しい。同じく、白いフリルがひらひらと動くカチューシャにその女給のオレンジの髪はよく映えていた。

可憐で、それでいてセクシーな女給の衣装で人気のこの店。
少し前に一週間ほど前に、店内で乱闘があったとかで、営業中止を余儀なくされていたらしい。そして、営業を再開してから入ったこの娘はそれまでこの店に在籍したどの娘よりも可憐だった。

少しばかりの酔いも手伝って、男は意中の女給を口説きにかかる。
「もうすぐ閉店だろ? 終わったら食事でもどうだい?」
「え・・・・でも」
困ったような笑みをみせた女給に、男はテーブルの下でこっそりと財布を広げてみせた。
びっしりとベリー札が詰まった財布を見た瞬間、女給の目が妖しく光ったことに気づかないまま、男は「な?」とウインクする。
「何でも好きなもの買ってあげるよ」
「・・・・・・じゃあ」
色よい返事を予感させる口調に、男が顔を明るくしたその瞬間、背後から低い声がかけられた。
「お客さん・・・・従業員に手ェ出してもらっちゃあ困ります」
華やかな店内に似つかわしくない無愛想なその声に男は振り向く。そこには、ギャルソン服に身を包み、腕組みをして見下ろしてくる男の姿があった。
ぱりっと糊のきいた白のシャツに黒の蝶タイ。黒のベストに黒のパンツ。白の長いエプロンを腰に巻きつけたその姿は、紛れもなくこの店の店員のものだった。
が、男に向けられる視線は、とても客に向けるようなものではなかった。
苛立ちを押し殺しているような硬い表情と威圧的な眼差し。制服の首や肩のあたりが窮屈そうに見える。それは、その下の身体が鍛え上げられていることを物語っている。その強面ぶりも相まって、ギャルソンというよりは店の用心棒といった風情の男だった。
突然邪魔に入った店員に男が何事か言おうとした瞬間、店の置時計が低い鐘の音で閉店の時間を告げた。
ちらと時計を見やり、ギャルソンは組んでいた腕をおもむろに男に向け、伸ばした。
「閉店の時間です。お客様」
軽々と男の首根っこを持ち上げ、ギャルソンは出口に向かって歩き出す。
怒りの表情で振り返った男に、ギャルソンは噛んで含めるようにゆっくりと言い渡す。
「またのご来店をお待ちしております」
その瞬間、男の表情が恐怖に彩られ、慌てふためきつつ店を後にする。ギャルソンがどんな表情を向けたのかは推して知るべきだろう。



「何、邪魔してくれてんのよ! バカ!!」
閉店後、後片付けの為に残ったナミは、手にしたモップの柄をゾロに向けて振り上げた。
「あんだよ」
飛んできた柄を片手で受止め、ゾロは不服そうに眉を顰めた。
「折角いいカモを見つけたってのに・・・・」
恨めしそうな目をナミはゾロに向けた。
「あんだけあったらここの稼ぎの何日分になると思ってんのよ」
ゾロの手からひったくるようにモップを取り返すと、ナミはそれに縋るようにしてがっくりと項垂れた。
「ログだってとっくに溜まってるのにーーー」
「しょうがねぇだろが」
「・・・・・しょうがない、ですってぇ?」
溜息混じりに言い返したゾロを、顔を起こしたナミがギリと睨みつけた。
「アンタが考えもなしに喧嘩買ったりするからでしょうがっっっ!!!」

一週間ほど前、この島についてすぐに喧嘩を売られたのがこの店の前だった。
店の中に逃げ込んだ相手を追って、返り討ちにしたのだ。ほうほうの体で店から逃げていった相手を、ゾロは不敵な笑みで見送った。
「次からは喧嘩売る相手、間違えんじゃねェぞ」
血曇り一つない刀を鞘に納める。その時、背後から肩を叩かれ、ゾロは振り向いた。
「ちょっと、兄さん・・・・・」
目の前には、店主と思われる親父と店内の惨状。そして、今に至る。

「馬っ鹿じゃないの! アンタ!! 放っとけばいいじゃない、そんなの!!」
事情を聞いたナミの第一声がそれだった。
「仕方ねェだろうが。約束させられちまったんだから」
ナミはガックリと頭を落とし、額を手で押さえた。
ゾロの口から約束という言葉がでたら、もうテコでも動かない。ナミは深い溜息をついた。


「あぁもぅ、やってらんなーい!」
ナミはカウンター前の、背の高いスツールにどっかと腰を下ろし、脚を組んだ。
封は切られているが、ほぼ手をつけられていない酒瓶を引き寄せ、口元に運ぶとぐいと傾けた。
短いスカートの裾が持ち上がり、ソックスとの合間にちらりと白い肌が覗いた。その白い肌に知らず吸い寄せられた視線を、ゾロは忌々しげに反らす。
「サボってんじゃねェよ」
顔を顰めるゾロを睨み返し、ナミは更に酒を煽る。
「うるっさいわねー。これが飲まずにやってられますかー・・・・・っと」
ボヤキの途中で、何かを思いついたように膨れっ面を引っ込めると、ナミはカウンターの向こうでモップを動かしているゾロを指先で招いた。
「いーいコト思いついちゃった」
どうにも不穏な気配を感じさせる笑顔に、ゾロの眉根の間の幅が更に狭まった。

カウンター越しに向かい合う二人の間には、先ほどまでナミが手にしていた酒瓶と炭酸水そしてショットグラスが二つ。
「・・・・・何だってんだよ」
「ショット勝負」
右手で作った銃をバンと放ち、ナミはニヤと笑う。
「負けたほうが勝ったほうの言うことを何でも・・・・そうね、十五分位? きくってのはどう?」
何でも、か。口の中で小さく呟くと、ゾロもまた人の悪い笑みを浮かべた。
「悪くねェ」

ショットグラスに透明な酒を半分。それからもう半分を炭酸水で満たす。
「じゃ、行くわよ?」
ゾロとナミは手のひらでショットグラスに蓋をし、そのまま持ち上げる。
「せーの!」
ナミの合図で、ほぼ同時にグラスの底がカウンターに打ちつけられる。カツンと硬い音の後、蓋していた手を除ければ、炭酸が一気に吹き上がる。ここまでの動作はほぼ同時。グラスからあふれ出した液体を一気に飲み干そうとしたゾロの前で、ナミは小さく笑むと、左手でスカートの裾を捲った。
先ほどちらりと覗いた肌が目の前で顕わになる。
「ぶっっっ!!?」
思わず噴き出し、盛大に咽たゾロの前で傾けたグラスをナミは悠々とカウンターに置いた。
「まずは私の勝ち」
「・・・・てめェ」
優雅に微笑んでみせるナミを、口元を拭いながらゾロは睨みつけるが、ナミには全く気に留める様子がない。
「じゃあ、まずは空いた酒樽を全部外に出して、それから床掃除。ほら! 十五分しかないんだからちゃっちゃと動く!!」
まるで追い立てるように左手をひらひらと動かし、ナミは余裕の表情で空になったグラスに酒を注いだ。
釈然としないながらも、負けは負けだと生真面目にモップを動かすゾロの背後で、ナミは組んだ脚をぶらぶらとさせながら、上機嫌でグラスを傾けている。
形のよい脚が視界の端をちらちらと行き来する。
くそ。内心で悪態をつき、ゾロは唇を引き結ぶ。
自分の身体が男の目を惹きつけること、どうすれば男がその身体を欲しがるのかを熟知してるもんだからタチが悪ィ。
さっき追い払った男のニヤケ面が頭に浮かび、それはゾロを一層苛つかせた。
そっちがそのつもりなら――
ゾロはモップを動かす手を止め、ポケットにあった小銭を握り締めた。
「おい! 十五分だぞ。勝負だ」
「望むところ」
再び二人の前にグラスがセットされる。蓋をした手のひらが持ち上がり、落ちる。グラスの底が鳴った瞬間、ゾロはナミの足元にコインを放った。
チャリン、と音をたてて床がコインを弾く。一度跳ねた後、転がり行こうとするコインをナミは反射的に踏みつけていた。
やられたっ!?
片足を伸ばした格好のまま、ナミは向かいに目をやる。そこには、空になったグラスを逆さにしてニヤリと笑うゾロの姿があった。
「こ・・・の、卑怯者!!」
「てめェだけにゃ言われたくねェよ」
笑い含みにそう言って、ゾロは楽しげな顔で顎をさする。そんなゾロを見て、ナミは口惜しそうに椅子を降りた。ちら、と時計に目をやり、口を開いた。
「言いなさいよ。何したらいいの?」
「別に大したことじゃねェ」
ゾロは手のひらでトントンとカウンターを叩く。
「ここに座って目ェ閉じてろ。それだけだ」

「ちょっ・・・・アンタ、何っ!?」
戸惑いを含んだナミの言葉を無視し、ゾロはナミの腿に乗せた手のひらを奥へと滑らせていく。
「"何でも"言うこと聞くんだろ?」
ぐっと息を飲む音を頭上に聞きながら、ゾロは身を屈め、両の腿の間に身を割り込ませる。
ニーソックスの奥の白い肌がしっとりと手に馴染む。押し開きながら、ゾロは鼻先を内腿にあてると、ゆっくりとその奥へと動かしていった。
「・・・・っ、やっ!」
鼻先が腿と下着の境目に到達したその時、ナミは弾かれたように両脚に力を込め、スカートの裾を両手で押さえた。
むっちりとした腿がゾロの顔を挟む。
これはこれで悪くはない、が。
ゾロは腿の上に乗せていた手を抜くと、ナミの左右の手のひらを掴み、カウンターに押し付けた。
「言われた以外のことをすんじゃねェよ」
その手を戻し、大きく脚を割り開き、ゾロはその中心近くに舌を伸ばした。下着の線に沿って舌を這わせる。腿の上から、尻に向かってゆっくりと舌を動かせば、ナミは小刻みに内腿を震わせた。
「やだ・・・・くすぐったい・・・」
少し鼻にかかる甘いその声は、男の欲望に火を灯す。
「だったら、くすぐったくねェようにしてやるよ」
節くれだった指が薄い布をぐいと横に引くと、ぷくりと柔らかな秘唇がゾロの前に顕わになる。閉じた唇のその合間にゾロは舌を挿し込む。ナミが浅い息を吐いた。
その上部に、いまだ眠りについたままの小さな核を探り当てると、ゾロの舌は執拗にそこを攻めだした。 窄めた舌先で、その周囲を掘り起こすように突く。 露出し始めた表面を舌先が掠めれば、ナミの細い腰がビクリと震えた。
「勃ってきたぜ?」
からかうようにそう言って視線を上げれば、羞恥にか快楽にか、ナミは嫌々をするように赤みを増した頬を左右に振る。
その反応に気をよくしたゾロは、ペロリと舐めた唇を核の上に落とす。まるで口づけするかのようにあてがわれた唇が僅かに開く。そして次の瞬間。
じゅっ!
目覚めたばかりの核を、ゾロは強く吸い上げた。
「・・・・・・・・ひ、んっ!!!」
大きく吸い込んだ息に短い悲鳴が混じる。それに構わず、ゾロは同じ動作を繰り返す。
じゅ・・・・・ちゅ・・・・
吸い上げられる度に、敏感な表面が濡れた唇に擦りつけられ、強い快感を生む。瞑ったままのナミの瞼の裏で、稲妻のような光が弾けては消える。
「あ・・・・ダメ・・・・強、過ぎ・・・・んぅっ!」
熱に浮かされたように呟くナミの手が、カウンターを離れ、ゾロの短髪に触れる。だが、引き剥がそうとする力はそこにはない。
じゅる、と意図的に大きな音をたてて吸い上げた後、ゾロは完全に無防備となった核の表面を舌先で擦る。
その瞬間、ゾロの頭に触れているナミの指に力が込められる。
「あ・・・・あ・・・あぁ・・・・っ!」
続けざまに自らを襲う快感に、ナミは惜しげもなく甘い声を零す。
ゾロの唇のすぐ下で、くちゅりと肉の動く音が微かに聞こえた。それはナミの入口が男を求めて蠢く音だった。
だが、ゾロはそこには触れようとしなかった。

どうしても言わせたかった。全ての男を虜にするだろうこの女の口から、俺が欲しい、と。

ゾロの舌の動きに合わせて、喘ぐ声が、荒い息遣いが徐々にその間隔を狭めていく。
柔らかな内腿が引き攣るように動きだした瞬間、ゾロは不意にその身を離し、立ち上がる。
「・・・・・・・・・え?」
まるで急に外に放り出されたような心許ない声をナミは上げる。ゆっくりと瞼が開けば、艶かしく潤んだ瞳が現れる。
「時間だぜ?」
ゾロは視線で時計を示す。先ほどナミが見た時から、きっかり十五分進んでいた。
手の甲で唇を拭ったゾロが、その端を歪める。
「どうしたよ、物足りなそうな顔してるぜ?」
「そんな顔してないわよ!!」
熱を帯びたままの瞳で、ナミはゾロを睨みつけた。その口から出た言葉は、ゾロの予想外のものだった。
「まだ勝負は終わっちゃいないんだから!!」


溜息のような短い息を一つ吐くと、ゾロの手が気ぜわしそうに自らの首に巻かれたタイを剥がした。首元にだらりとタイが垂れると、待ちかねたように下から伸びた細い指がシャツのボタンを外していく。 徐々に落ちていく指先は、ベストのボタンも外し、硬く引き締まった腹をさらりと撫ぜ、そこで止まった。
床には既にゾロがつけていた白いエプロンが落ちて皺になっている。上着よりも先に下ろされていたパンツのジッパー。その真ん前には、膝立ちで顔を寄せるメイドの姿があった。
見下ろせば、オレンジの頭が前後する度にカチューシャのフリルが揺れる。その下でついさっきまで喘ぎ声を上げていた口が、今はゾロの怒張を咥え込んでいる。

いくら負けず嫌いったってよ。
ゾロは忌々しさと快楽の混ざった複雑な顔を顰め、敗戦を振り返る。
勝負の席でパンツぶつけてくる女がどこにいんだよ。

飲むまでもなくついた勝負に、ナミは悠然と笑み、ただそこに立っているように命じた。
「こっちまで立てろとは言ってないけど?」
ジッパーを下ろした後、お返しとばかりに憎まれ口を叩き、ナミはゾロの足元に膝をつくと、おもむろにそそり立ったものに唇を寄せた。

カリ首の周りをぐるぐると舐っていた舌が不意に先端へと向かい、細く割れた先をつ、と割った。
腰が砕けるような快感に身体のバランスを崩し、ゾロがあとずさる。壁に背中を預けたゾロを追って、ナミが一歩膝を進めた。
口の中に入る限界まで深く咥え、硬さを増した表面を舌全体で撫ぜる。ナミの口を出入りする度、たっぷりと濡らされた陰茎はグチュグチュと卑猥な音をたてる。 その音に煽られるように、ナミの舌遣いは益々熱を帯びていく。
「・・・・・くっ」
食いしばった歯の隙間から、抑え切れなかった声が漏れる。
何で、こんなに上手ェんだって―――
快楽に歪む視線が、見上げてくるナミの視線と絡まる。
血管を浮き上がらせ、凶悪なまでに猛る男の一部を、メイド姿のナミは深く咥えたままうっとりと微笑む。
その艶かしい姿に、ぞくり、と腰から発した痺れがゾロの頭と局部を熱くさせる。壁についていた手が、知らずナミの後頭部にあてられていた。
張りつめた筋や、括れた部分を舌先で刺激しながら、ナミは怒張を吸い込んでは吐き出す。だが、不意にその力が緩くなった。それまでの締め付けられるような快楽から取り残されたようで、ゾロはもどかしくも落ち着かない気持ちにさせられる。
・・・このアマ。
その意図を察し、ゾロは歯噛みする。
さっきの意趣返しかよ。
ゾロの視線がチラリとカウンターに向かう。ナミの投げつけたショーツが二つのグラスの合間で丸まっている。
目の前でふわふわと揺れる短いスカート。手を伸ばせばすぐに届くその奥に、濡れた穴がある。
ゾロの脳裏に、露を吐き出しながら開いては閉じるナミの口がありありと浮かんだ。
くっそ。突っ込みてェ。
溜め込んだ熱い息を吐き出しながら、ゾロは獣のように低く唸った。
オレンジの頭にあてた手がピクリと動いたその時、ナミがすい、と離れ、にっこりと微笑んだ。
「はい、十五分」
知らぬ間に突き出していた腰を壁につけ、ゾロはずるりとその身体を沈ませた。その様を見たナミは、澄まし顔で問いかけた。
「・・・・で? 何か言いたいことある?」
「ああ・・・あるな」
ゾロは何とか体勢を整えると、人の悪い笑みでナミの微笑を迎え撃つ。
「勝負だ。もっかい、な」


熱と欲望を持て余す二つの身体が三度、カウンター越しに向かい合う。
ナミの合図で、グラスの底がカウンターに打ちつけられる。一気に弾けた気泡が手のひらを擽る。だが、ゾロはカウンターにグラスを置いたまま、ナミがグラスを飲み干すのを見つめていた。
グラスを傾けた瞬間、口の中に火が灯る。男の身体を思わせるその熱は、ナミの喉を焼く。その熱さが臓腑に至ったその時、空になったグラスを持つナミの手が、ピタリと止まった。
「アンタ―――」
泡となって半ば零れたグラスがゾロの手元にある。
「見ての通りてめェの勝ちだ」
ゾロはナミの大きな瞳を見、ニヤと笑った。
「おら、命令しろよ。きいてやるぜ、何でも、な?」

ナミは口を引き結ぶと、カウンターに肘をつき、あさっての方向に目をやる。どう出るかと見つめるゾロの前で、逡巡した後にナミは口を開いた。
「・・・・・・・キス、しなさいよ」
「あ?」
ひらりとカウンターを跨ぎ越し、ナミはポカンと口を開けたゾロの前に立った。
「キスしろって言ったの!」
「あ・・・あぁ・・・・・・」
何で今更との思いを抱きつつ、ゾロはナミの細い肩を掴み、柔らかな唇に己の唇を重ねた。
「んっ・・・・・」
ナミが喉を震わせる。どちらが先に舌を伸ばしてきたのかはもう分からなかった。互いに抱えた熱をぶつけ合うように唇を貪る。ゾロの押す力に負け、ナミが壁に背をぶつける。その衝撃で、ナミの髪からカチューシャが滑り落ち、床で軽い音をたてた。
「落ち・・・ちゃった・・・・・んっ!」
「そうだ・・・なっ」
唇を離して尚、二人の息は荒い。
口づけの途中から、ゾロの指がナミの秘所をまさぐり、ナミの指はゾロの陰茎に絡みついていた。
潤んだ瞳でナミはゾロを見上げる。
「私はキスしろって言ったのよ」
「知ってる」
「・・・・・何なのよ・・・・この手は・・・っ!」
会話の合間も、ゾロの指は止まることなく、ナミの襞を掻き分けている。
「てめェこそ何だよ、この手は」
細い指が陰茎を扱き、親指が亀頭を撫ぜている。
答える代わりにナミはゾロの首に腕を回し、唇を奪う。
だが、どれほど深い口づけを交わしても、身体中にまわりきった熱はどこにも行けずに高まり続けていく。
僅かに離れた二つの唇が、ほぼ同時に動いた。
「ねぇ」「なぁ」

見つめ合った互いの瞳が困ったように笑む。それで十分だった。
ゾロがナミの左足を抱え上げる。ゾロの首に回したナミの腕に力が入る。
ゾロの指が広げる蜜壷へ、ナミの指に誘われたゾロ自身があてがわれる。
「いらっしゃいませ――」
まるで営業中のように小首を傾げて微笑んでみせる、かくも勝気でいやらしいメイドの中へ、ゾロは苦笑を浮かべながら己が分身を突き入れた。


happy ver./ costume request たまちよ様


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