*については裏書庫に続きがあります。
表書庫


  PRISONER* Date: 2003-09-25 (Thu) 
どこ、ここ?水の・・中?―
不思議と息苦しさは感じないが、体にまとわりつくような水の圧迫感がナミに嫌悪感を抱かせる。

やだ、早く出たい―
必死になって出口を探すが、どこに行ってもガラスのような境界に阻まれてしまう。

何、コレっ、水槽?―
そんな事を考えたとき、目の前をよく知った顔がいくつも通り過ぎていく。
いつものように笑いながら・・・

!!―
ナミは自分と彼らを隔てる境界を懸命に叩くが、誰も気づかない。

どうして?こっちを見て―
と、ナミの願いが届いたのか3人は振りかえる。
しかし、彼らの視線の先にいたのはナミではなく....

「×××!×××!!」
ナミは始めて声をだして、その名を呼ぶ。否、呼ぼうとしたが音にはならない。
全ての音は水へと吸い込まれ、境界を叩く拳は、いたずらに目の前の男の顔をぶれさせる。
愕然とするナミの耳に初めて届いたのは、もう2度と聞くことはないと思っていたあの笑い声。
その声は、遠ざかっていく4人の姿と反比例するように大きくなっていく。

いやぁっ、助けてっ、助けてー―
「―――!―――!!」
名を呼ぶ音とならない絶叫。遠くにしか見えない彼が一瞬ナミを見たような気がしたがその姿も水にさえぎられ・・・

そこでナミは目を覚ました。
今が一体いつなのか、自分がどこにいるのか分からず、一瞬混乱する。
恐る恐る左肩を見て、ナミは安堵の溜息を漏らす。
そこにあったのは、かつての囚われの証ではなく、みかんと風車。

夢―
片手で自分を抱きしめる。現実感はまだ戻ってこない。
聞こえてくるのはいまだ激しい鼓動だけ。

なんて夢―
目を閉じると体にじっとりと滲む汗が、夢で感じた水の感触をまざまざと蘇らせる。
慌ててナミは目を開け、その感触を振り払うかのように首を何度も振る。

もう・・・眠れそうにないわね―
ナミは、つい、と起きあがるとノブに手をかけ、ドアを開ける。
夢の中では言葉にならなかった彼の名を溜息と共に呟きながら...



⇒「ルフィ・・・」

⇒「サンジ君・・・」

⇒「ゾロ・・・」

[前頁]  [目次]  [次頁]


- Press HTML -